ふたつの羽根
第二章=幻=
本当の愛
あの日から何もないまま1ヶ月が経ち気付いた事と言えば、あたしは学校にいる時はいつも陸を遠くから見ている事だった。
だけど、あたしは恋には不器用でうまく前に進めない…。
朝の清々しい風とともにあたしは前に足を進める。
校門を抜けてすぐ目に入ったのは田上だった。
何度も頭を下げる田上の前には、ひとりの女の子が立っている。
その光景でなんとなく“断っている”と予想はついた。
「田上ってモテるんだね」
不意に出たあたしの言葉に隣にいた有亜は田上に目を向ける。
その2人に目を向けているのは、あたし達だけじゃなく他の女の視線も交じっていた。
「田上は中学ん時からモテてたよ」