ふたつの羽根
第二章=幻=

本当の愛


あの日から何もないまま1ヶ月が経ち気付いた事と言えば、あたしは学校にいる時はいつも陸を遠くから見ている事だった。 


だけど、あたしは恋には不器用でうまく前に進めない…。



朝の清々しい風とともにあたしは前に足を進める。

校門を抜けてすぐ目に入ったのは田上だった。

何度も頭を下げる田上の前には、ひとりの女の子が立っている。


その光景でなんとなく“断っている”と予想はついた。 



「田上ってモテるんだね」 


不意に出たあたしの言葉に隣にいた有亜は田上に目を向ける。


その2人に目を向けているのは、あたし達だけじゃなく他の女の視線も交じっていた。 


「田上は中学ん時からモテてたよ」


< 90 / 275 >

この作品をシェア

pagetop