お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
第一章
突然のお見合い
▼突然のお見合い話
くらっとするような高さのタワーマンションのダイニングルームで、私は画面越しに、映画を見ているかのような感覚に陥っていた。
それくらい、信じられない光景なのだ。今のこの状況は。
「てっとりばやく夫婦らしい空気感をつくるには、触れ合うことが一番だと、そう思わないか」
「お……、思うのでしょうか……ふつうは……」
さっきまでふつうに食事をしていたはずなのに、彼がゆっくりと立ち上がり、こちらに近づいてきた。
クールな表情を一切崩さずにネクタイに手をかけた彼ーー三津橋高臣(ミツハシ タカオミ)は、ダイニングチェアで石になっている私の顔をのぞきこんでくる。
横に自然に流した前髪……そこから見えるアーモンド型の綺麗な瞳に吸い寄せられて、全身の血が顔に集まって熱くなっている気がする。
三十三歳とは思えないきめ細かな肌も、すっと通った鼻筋も、形の良すぎる唇も……、直視できないほどに美しい。
そんな彼の手が、私の背中を通り過ぎ、そのまま椅子の背もたれに移動していく。
ギシ、という音と共に、ほんの少しだけ木の椅子が軋んだ。
その音を合図に、恋愛経験値が中学生並みの私の心臓が、ドックンドックンと呼吸が困難になるほど激しく拍動しはじめる。
二十七年間生きてきたけれど、こんなときの対処法が私の薄い辞書には載っているはずがなかった。
あまりの近さに耐えられず、私は思わず目を背ける。
……まずい。高臣さんの色香にあてられて、脳が正常に物事を判断できなくなっている。
そしてついに、彼の手が顎に添えられて、強制的に目を合わせる形となった。
キスを予想したその瞬間、何かがプツンと切れてしまった私は、恥ずかしいくらいに取り乱して自分の顔を手で隠す。
「む、無理です! あの、もう少し時間をもらえたらきっと……!」
「時間? そんなもの必要ない」
「あの、私、緊張で今脳が全く動いてくれなくて……」
「大丈夫だ。……もっと動かなくさせてやる」
「え……、んっ」
――自分の顔を隠していた手を瞬時に剥がされて、気づいたら強引にキスをされていた。
全身が硬直して、もう何も考えることができない。本当に頭の中を真っ白にさせられてしまった。
しかも、想像以上に激しく強引なキス……。
「た、高臣さっ……苦しい」
「凛子」
「んんっ……」
くらっとするような高さのタワーマンションのダイニングルームで、私は画面越しに、映画を見ているかのような感覚に陥っていた。
それくらい、信じられない光景なのだ。今のこの状況は。
「てっとりばやく夫婦らしい空気感をつくるには、触れ合うことが一番だと、そう思わないか」
「お……、思うのでしょうか……ふつうは……」
さっきまでふつうに食事をしていたはずなのに、彼がゆっくりと立ち上がり、こちらに近づいてきた。
クールな表情を一切崩さずにネクタイに手をかけた彼ーー三津橋高臣(ミツハシ タカオミ)は、ダイニングチェアで石になっている私の顔をのぞきこんでくる。
横に自然に流した前髪……そこから見えるアーモンド型の綺麗な瞳に吸い寄せられて、全身の血が顔に集まって熱くなっている気がする。
三十三歳とは思えないきめ細かな肌も、すっと通った鼻筋も、形の良すぎる唇も……、直視できないほどに美しい。
そんな彼の手が、私の背中を通り過ぎ、そのまま椅子の背もたれに移動していく。
ギシ、という音と共に、ほんの少しだけ木の椅子が軋んだ。
その音を合図に、恋愛経験値が中学生並みの私の心臓が、ドックンドックンと呼吸が困難になるほど激しく拍動しはじめる。
二十七年間生きてきたけれど、こんなときの対処法が私の薄い辞書には載っているはずがなかった。
あまりの近さに耐えられず、私は思わず目を背ける。
……まずい。高臣さんの色香にあてられて、脳が正常に物事を判断できなくなっている。
そしてついに、彼の手が顎に添えられて、強制的に目を合わせる形となった。
キスを予想したその瞬間、何かがプツンと切れてしまった私は、恥ずかしいくらいに取り乱して自分の顔を手で隠す。
「む、無理です! あの、もう少し時間をもらえたらきっと……!」
「時間? そんなもの必要ない」
「あの、私、緊張で今脳が全く動いてくれなくて……」
「大丈夫だ。……もっと動かなくさせてやる」
「え……、んっ」
――自分の顔を隠していた手を瞬時に剥がされて、気づいたら強引にキスをされていた。
全身が硬直して、もう何も考えることができない。本当に頭の中を真っ白にさせられてしまった。
しかも、想像以上に激しく強引なキス……。
「た、高臣さっ……苦しい」
「凛子」
「んんっ……」
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