お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
「高臣からうちのぶどうを推薦してもらってたというのに……私はそんなことも知らずにネット記事に書き込んだりして……」
「え! やっぱそれ井山さんだったんですか!」
「なんてこと……許して高臣……永遠の推し……」
「あの、さっきからおっしゃってるその"推し"っていうのは……」
困り果てた私の肩を、ずっと黙って聞いていた岡田さんがぽんと叩いた。
そして私の前に立ちはだかり、混乱している様子の井山さんの背中をバシッと強めに叩いた。
「推しのプライベートには関与しない! これは自分の心も守るための鉄則よ」
「う、ううっ……あんな国宝級の男前、写真で見てるだけで十分だったのに私は……」
「あの……、岡田さんと井山さん、いったいなんの話をして……」
高臣さんはいつから国民的なアイドルになってしまったのだろうか。
アイドルとは程遠いほど表情のパターンが極めて少ないんですけど……。
茫然としている私をよそに、二人はなぜか励ましあっている。
もしかして今、ものすごく岡田さんに助けられているのでは……。
どうしたらよいか分からず立ち尽くしていると、井山さんが顔を覆っている指の隙間から私のことを睨みつけ言い放った。
「高臣のこと不幸にしたら許さないからぁ……」
「は……はい……」
「うちのぶどう、そんなに美味しかった……?」
「はい! それはもう!」
「同じくらい自信もって答えなさいよ!」
「えぇ……」
般若のような顔で脅され、私はその恐ろしさに顔を青くした。
なんだかよく分からないけれど、ようやく井山さんの仮面が剝がれたような気がするのと、お店にはもう被害を与えなさそうなので、一件落着したのだろうか?
なんだか高臣さんと岡田さんの力を使って解決した気がするけど、ひとまずお店が無事ならそれでいい……ということにしておこう。
とんでもない疲労感が体に押し寄せてきたが、私は最後に一言、暴れまくっている井山さんに伝えた。
「あの、開店したらぜひいらしてください。ぶどう園の紹介POP、飾ってあるので」
「……そう。気が向いたら行きます」
「はい、気が向いたら、来てください」
最後まで素直じゃない井山さんに、私は少し笑ってしまった。
よかった。これでひとつ、お店のことも、高臣さんのことも、守れたはず。
――ふっと気が抜けた瞬間、体の力が抜けて私は少しうしろによろめいた。
「え! やっぱそれ井山さんだったんですか!」
「なんてこと……許して高臣……永遠の推し……」
「あの、さっきからおっしゃってるその"推し"っていうのは……」
困り果てた私の肩を、ずっと黙って聞いていた岡田さんがぽんと叩いた。
そして私の前に立ちはだかり、混乱している様子の井山さんの背中をバシッと強めに叩いた。
「推しのプライベートには関与しない! これは自分の心も守るための鉄則よ」
「う、ううっ……あんな国宝級の男前、写真で見てるだけで十分だったのに私は……」
「あの……、岡田さんと井山さん、いったいなんの話をして……」
高臣さんはいつから国民的なアイドルになってしまったのだろうか。
アイドルとは程遠いほど表情のパターンが極めて少ないんですけど……。
茫然としている私をよそに、二人はなぜか励ましあっている。
もしかして今、ものすごく岡田さんに助けられているのでは……。
どうしたらよいか分からず立ち尽くしていると、井山さんが顔を覆っている指の隙間から私のことを睨みつけ言い放った。
「高臣のこと不幸にしたら許さないからぁ……」
「は……はい……」
「うちのぶどう、そんなに美味しかった……?」
「はい! それはもう!」
「同じくらい自信もって答えなさいよ!」
「えぇ……」
般若のような顔で脅され、私はその恐ろしさに顔を青くした。
なんだかよく分からないけれど、ようやく井山さんの仮面が剝がれたような気がするのと、お店にはもう被害を与えなさそうなので、一件落着したのだろうか?
なんだか高臣さんと岡田さんの力を使って解決した気がするけど、ひとまずお店が無事ならそれでいい……ということにしておこう。
とんでもない疲労感が体に押し寄せてきたが、私は最後に一言、暴れまくっている井山さんに伝えた。
「あの、開店したらぜひいらしてください。ぶどう園の紹介POP、飾ってあるので」
「……そう。気が向いたら行きます」
「はい、気が向いたら、来てください」
最後まで素直じゃない井山さんに、私は少し笑ってしまった。
よかった。これでひとつ、お店のことも、高臣さんのことも、守れたはず。
――ふっと気が抜けた瞬間、体の力が抜けて私は少しうしろによろめいた。