お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
「高臣さん……、ありがとうございます……!」
私は彼の言葉を遮り、思わず彼の手を掴んで、嬉しくたまらないという笑顔で御礼を伝えた。
私たちの間に愛のない結婚だとしても、高臣さんはうちの店に愛を持ってくれている。
十分すぎる程の、条件だ。
もしかしたら、私が結婚するうえで一番大事な条件だったかもしれない。
うちの和菓子を愛し、大切に思ってくれていること……。
守りたいと思ったという言葉に、嬉しくて、涙が出そうになった。
……この人と、新しい一歩を踏み出そう。私の決心は、もう固まった。
私たちの結婚は普通じゃないけれど、色んな夫婦の形があっていいはずだから。
「高臣さん、この縁談、謹んでお受けさせてください」
満面の笑みの私を見て、高臣さんがなぜか固まっている。
ずっと眉間にしわを寄せていた女が突然明るくなったので、感情の起伏の激しさに驚いているのだろうか。
なんとも言えない間に困り果てていると、彼はハッとしたようにようやく口を開いた。
「……そんなに簡単に決めていいのか」
「はい! 私、決断力だけはあるんです」
「今さらだが、好きな人や彼氏はいないのか」
「いません。元カレの顔もおぼろげなほど、恋愛からは遠ざかっておりましたので」
「そうか……」
高臣さんは何かに動揺しながら、自分の胸を押さえて自問をし続けている様子だ。
あまりに私があっさりと返事をしてしまったものだから、動揺しているのだろうか。
これは彼を安心させなくてはならないと、私は必死に会話を続ける。
「あの、愛がない結婚というのも、十分承知の上ですので、あとから面倒なこと言ったりしません」
「…………」
「なんなら、プライベートでは別々に暮らして、高臣さんは今まで通りの生活を送って頂いても」
「ダメだ」
「え……?」
強めの「ダメだ」という言葉に、今度は私が驚き一瞬固まってしまった。
子供のような言い方をした高臣さんを見て、私は目を丸くしている。
ダメだとは……いったいどういうい意味で……?
高臣さんは自分の口から反射的に放たれた言葉に動揺していたが、すぐに冷静さを取り戻して再び口を開く。
「君の両親も……そんな生活を送ったら心配するだろう」
「たしかに……。両親は政略結婚を心からは望んでいません」
なるほど、そういうことか。
私は彼の言葉を遮り、思わず彼の手を掴んで、嬉しくたまらないという笑顔で御礼を伝えた。
私たちの間に愛のない結婚だとしても、高臣さんはうちの店に愛を持ってくれている。
十分すぎる程の、条件だ。
もしかしたら、私が結婚するうえで一番大事な条件だったかもしれない。
うちの和菓子を愛し、大切に思ってくれていること……。
守りたいと思ったという言葉に、嬉しくて、涙が出そうになった。
……この人と、新しい一歩を踏み出そう。私の決心は、もう固まった。
私たちの結婚は普通じゃないけれど、色んな夫婦の形があっていいはずだから。
「高臣さん、この縁談、謹んでお受けさせてください」
満面の笑みの私を見て、高臣さんがなぜか固まっている。
ずっと眉間にしわを寄せていた女が突然明るくなったので、感情の起伏の激しさに驚いているのだろうか。
なんとも言えない間に困り果てていると、彼はハッとしたようにようやく口を開いた。
「……そんなに簡単に決めていいのか」
「はい! 私、決断力だけはあるんです」
「今さらだが、好きな人や彼氏はいないのか」
「いません。元カレの顔もおぼろげなほど、恋愛からは遠ざかっておりましたので」
「そうか……」
高臣さんは何かに動揺しながら、自分の胸を押さえて自問をし続けている様子だ。
あまりに私があっさりと返事をしてしまったものだから、動揺しているのだろうか。
これは彼を安心させなくてはならないと、私は必死に会話を続ける。
「あの、愛がない結婚というのも、十分承知の上ですので、あとから面倒なこと言ったりしません」
「…………」
「なんなら、プライベートでは別々に暮らして、高臣さんは今まで通りの生活を送って頂いても」
「ダメだ」
「え……?」
強めの「ダメだ」という言葉に、今度は私が驚き一瞬固まってしまった。
子供のような言い方をした高臣さんを見て、私は目を丸くしている。
ダメだとは……いったいどういうい意味で……?
高臣さんは自分の口から反射的に放たれた言葉に動揺していたが、すぐに冷静さを取り戻して再び口を開く。
「君の両親も……そんな生活を送ったら心配するだろう」
「たしかに……。両親は政略結婚を心からは望んでいません」
なるほど、そういうことか。