お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
せめて高臣さんが何かに困ったときは助けてあげられるように……、そんな妻になろう。
高臣さんは、うちのお店を救いたいと思って、お見合いを提案してくれたのだから。
……そうして、私は私なりに高臣さんに歩み寄ることを誓って、お見合いの話を進めたのだった。
〇
エントランスの鍵を解除してもらい中に入ると、自動ドアが開き、豪華なエントランスホールが目の前に広がった。
ラウンジには高級そうな革張りのソファーが並んでおり、住人が何人か自由に過ごしていた。
中庭を囲むような設計のマンションのため、ソファ席に座ると、ライトアップされた美しい庭が眺められるようになっている。
最新でも何でもないセキュリティの、1Kのアパートに住んでいた私には、目のくらむような景色だ。
ひとまずここで待てと言われていたので、荷物を持ったまま大理石の床に立ち尽くしていると、急にフッと両手が軽くなった。
「随分荷物が少ないな」
「あっ、高臣さん……!」
あまりに豪華絢爛な景色に気を取られていると、いつのまにか高臣さんがうしろからやってきて荷物を持ってくれた。
高臣さんも今日は休日で、白シャツにパンツスタイルというシンプルな格好をしている。
あれよあれよという間に仮交際が始まり、一緒に住むことになったので、正直いまだにこの人と暮らすということに実感がわいていない。
「ここはセキュリティが三重になっている。今から案内するから覚えてほしい」
「三重……」
「め、面倒くさい……」という言葉を胸の奥底にしまって、私は言われるがままに高臣さんにマンション内を案内してもらった。
高臣さんの部屋はマンションの二十階にあるそうだ。
厳重なセキュリティを解除して、ついに高臣さんの部屋のドアを開けると、そこには全く生活感のない部屋が広がっていた。
薄暗いライトアップがされている部屋は、全体的にモノクロの家具でそろえられていて、無駄なものが一切外に出ていない。
壁に埋め込まれたテレビの前に、グレーのL字型ローソファが置かれており、あとは本棚と間接照明が隅に置いてあるだけだ。
壁が少なく、一面大きな窓に囲まれており、夜景に包み込まれているかのようなつくりで、予想はしていたけれど一人暮らしにはどう考えても広すぎる部屋だ。
高臣さんは、うちのお店を救いたいと思って、お見合いを提案してくれたのだから。
……そうして、私は私なりに高臣さんに歩み寄ることを誓って、お見合いの話を進めたのだった。
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エントランスの鍵を解除してもらい中に入ると、自動ドアが開き、豪華なエントランスホールが目の前に広がった。
ラウンジには高級そうな革張りのソファーが並んでおり、住人が何人か自由に過ごしていた。
中庭を囲むような設計のマンションのため、ソファ席に座ると、ライトアップされた美しい庭が眺められるようになっている。
最新でも何でもないセキュリティの、1Kのアパートに住んでいた私には、目のくらむような景色だ。
ひとまずここで待てと言われていたので、荷物を持ったまま大理石の床に立ち尽くしていると、急にフッと両手が軽くなった。
「随分荷物が少ないな」
「あっ、高臣さん……!」
あまりに豪華絢爛な景色に気を取られていると、いつのまにか高臣さんがうしろからやってきて荷物を持ってくれた。
高臣さんも今日は休日で、白シャツにパンツスタイルというシンプルな格好をしている。
あれよあれよという間に仮交際が始まり、一緒に住むことになったので、正直いまだにこの人と暮らすということに実感がわいていない。
「ここはセキュリティが三重になっている。今から案内するから覚えてほしい」
「三重……」
「め、面倒くさい……」という言葉を胸の奥底にしまって、私は言われるがままに高臣さんにマンション内を案内してもらった。
高臣さんの部屋はマンションの二十階にあるそうだ。
厳重なセキュリティを解除して、ついに高臣さんの部屋のドアを開けると、そこには全く生活感のない部屋が広がっていた。
薄暗いライトアップがされている部屋は、全体的にモノクロの家具でそろえられていて、無駄なものが一切外に出ていない。
壁に埋め込まれたテレビの前に、グレーのL字型ローソファが置かれており、あとは本棚と間接照明が隅に置いてあるだけだ。
壁が少なく、一面大きな窓に囲まれており、夜景に包み込まれているかのようなつくりで、予想はしていたけれど一人暮らしにはどう考えても広すぎる部屋だ。