お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
アパートの二階からの景色に慣れていた私には、正直この部屋は落ち着かない。
部屋を見て絶句している私を見て、高臣さんは頭の上にハテナマークを浮かべるかのように小首をかしげた。
「なんだ? この部屋が気に入らなければいつでも引っ越す」
「い、いいです、いいです……」
私は青ざめた顔のまま手をぶんぶんと横に振る。
「ちゃんと凛子専用の部屋もある。全然使っていなかったからな」
間取りはどうやら3LDKのようで、リビング、自分の書斎、寝室、あともう一部屋がちょうど空き室だったようだ。
高臣さんに案内された空き部屋はたしかに使用感がなく、カーテンがついているだけだった。
「ここ、私が使っていいんですか……?」
「八畳しか無くて少し窮屈かもしれないが、好きに使ってくれ」
「あ、ありがとうございます……! ベッドも置けるし、十分です」
ようやく現実味のある広さの部屋を見つけて、私はほっとしたような顔で御礼を伝えた。
白いカーテンを開けると、リビングと同じように夜景が広がっているが、景色は段々慣れていくだろう……。うん。
自分に言い聞かせながら、私は自分が持っていた荷物や春コートを部屋の隅に置いた。
「今後のことを、軽く何か飲みながら話そう」
「あ、はい……!」
「イスに座って待ってて」
言われるがままに、私は自分の部屋を出て、再びリビングルームへと向かう。
モダンな印象を与えるダイニングテーブルは、重厚な木材が使用されており、ハイバックのイスもとてもおしゃれだ。
カチンコチンに緊張した状態のまま座って待っていると、高臣さんがキッチンからワインを数本取り出してきた。
「赤と白、どっちがいい? 飲みやすいスパークリングもあるけど」
「どっちも好きです……けど、あっ、そうだ」
ふと忘れていたことを思い出し、私は一旦自分の部屋に戻って、あるものを持ち出す。
再びハテナマークを浮かべながら私の行動を黙って見守っていた高臣さんに、私はずいっと紙袋を手渡した。
「これ、今日からお世話になるので、一応うちの看板商品のひとつを持ってきました」
「この包装は……"夜桜"か」
「わっ、これも食べてくださったことがあるんですか?」
嬉しくてつい笑顔で近寄ると、高臣さんは表情を強張らせて一瞬固まった。
おっと危ない……、政略結婚なんだから距離感は間違えないようにしないと。
部屋を見て絶句している私を見て、高臣さんは頭の上にハテナマークを浮かべるかのように小首をかしげた。
「なんだ? この部屋が気に入らなければいつでも引っ越す」
「い、いいです、いいです……」
私は青ざめた顔のまま手をぶんぶんと横に振る。
「ちゃんと凛子専用の部屋もある。全然使っていなかったからな」
間取りはどうやら3LDKのようで、リビング、自分の書斎、寝室、あともう一部屋がちょうど空き室だったようだ。
高臣さんに案内された空き部屋はたしかに使用感がなく、カーテンがついているだけだった。
「ここ、私が使っていいんですか……?」
「八畳しか無くて少し窮屈かもしれないが、好きに使ってくれ」
「あ、ありがとうございます……! ベッドも置けるし、十分です」
ようやく現実味のある広さの部屋を見つけて、私はほっとしたような顔で御礼を伝えた。
白いカーテンを開けると、リビングと同じように夜景が広がっているが、景色は段々慣れていくだろう……。うん。
自分に言い聞かせながら、私は自分が持っていた荷物や春コートを部屋の隅に置いた。
「今後のことを、軽く何か飲みながら話そう」
「あ、はい……!」
「イスに座って待ってて」
言われるがままに、私は自分の部屋を出て、再びリビングルームへと向かう。
モダンな印象を与えるダイニングテーブルは、重厚な木材が使用されており、ハイバックのイスもとてもおしゃれだ。
カチンコチンに緊張した状態のまま座って待っていると、高臣さんがキッチンからワインを数本取り出してきた。
「赤と白、どっちがいい? 飲みやすいスパークリングもあるけど」
「どっちも好きです……けど、あっ、そうだ」
ふと忘れていたことを思い出し、私は一旦自分の部屋に戻って、あるものを持ち出す。
再びハテナマークを浮かべながら私の行動を黙って見守っていた高臣さんに、私はずいっと紙袋を手渡した。
「これ、今日からお世話になるので、一応うちの看板商品のひとつを持ってきました」
「この包装は……"夜桜"か」
「わっ、これも食べてくださったことがあるんですか?」
嬉しくてつい笑顔で近寄ると、高臣さんは表情を強張らせて一瞬固まった。
おっと危ない……、政略結婚なんだから距離感は間違えないようにしないと。