お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
「ダメです! あの、私、緊張で今脳が全く動いてくれなくて……」
「大丈夫だ。……もっと動かなくさせてやる」
「え……、んっ」
――自分の顔を隠していた手を瞬時に剥がされて、気づいたら強引にキスをされていた。
全身が硬直して、もう何も考えることができない。本当に頭の中を真っ白にさせられてしまった。
しかも、想像以上に激しく強引なキス……。さっきまで軽率に彼に対して"かわいい"などと思っていた自分がありえないと感じるほどの。
「た、高臣さっ……苦しい」
「凛子」
「んんっ……」
胸を押し返して離れても、すぐに再び唇を求められた。
この人は……間違いなく、"獣"だ。
類い稀なる美貌と、カリスマ性で、何もかもを手にしてきた……"狩る側"の人間だ。
自分だけが乱れた呼吸音、高臣さんの鋭い瞳……。
そのすべてに圧倒されて、私は言葉を失っている。
ドクンドクンと高鳴っている自分の心臓の音に、気が遠くなってしまいそうだ。
私は今……、はじめて婚約者とキスをしている。
私たちの関係は、ただの"政略結婚"のはずなのに――……。
今彼は、愛のない私にこんなことをして、いったいどんな表情(カオ)をしているのだろう……。
いつものように感情のない、冷たい瞳をしてるのだろうか。
朦朧としはじめる意識の中、うっすらと瞼を開けると、彼は想像とはまったく違う表情をしていた。
余裕のない熱のこもった瞳が、真っ直ぐに私だけを射貫いている。
「え……」
唇が離れた瞬間、思わず動揺して声が漏れた。
甘いキスに本当に脳まで溶けてしまったのか……。私はふいに、とんでもなくバカな質問を彼へ投げかける。
「これは……政略結婚なんですよね?」
「……そうだ」
ドクンドクンと、心臓が高鳴っている。
余計な感情はいらないと言われたはずなのに、どうして一瞬でもキスに愛を感じてしまったんだろうか。
冷たい言葉とは裏腹な優しい触り方に、ますます勘違いしてしまいそうになる。
私たちは完全にお互い合意の上で、愛のない政略結婚を選んだはずなのに――。
「大丈夫だ。……もっと動かなくさせてやる」
「え……、んっ」
――自分の顔を隠していた手を瞬時に剥がされて、気づいたら強引にキスをされていた。
全身が硬直して、もう何も考えることができない。本当に頭の中を真っ白にさせられてしまった。
しかも、想像以上に激しく強引なキス……。さっきまで軽率に彼に対して"かわいい"などと思っていた自分がありえないと感じるほどの。
「た、高臣さっ……苦しい」
「凛子」
「んんっ……」
胸を押し返して離れても、すぐに再び唇を求められた。
この人は……間違いなく、"獣"だ。
類い稀なる美貌と、カリスマ性で、何もかもを手にしてきた……"狩る側"の人間だ。
自分だけが乱れた呼吸音、高臣さんの鋭い瞳……。
そのすべてに圧倒されて、私は言葉を失っている。
ドクンドクンと高鳴っている自分の心臓の音に、気が遠くなってしまいそうだ。
私は今……、はじめて婚約者とキスをしている。
私たちの関係は、ただの"政略結婚"のはずなのに――……。
今彼は、愛のない私にこんなことをして、いったいどんな表情(カオ)をしているのだろう……。
いつものように感情のない、冷たい瞳をしてるのだろうか。
朦朧としはじめる意識の中、うっすらと瞼を開けると、彼は想像とはまったく違う表情をしていた。
余裕のない熱のこもった瞳が、真っ直ぐに私だけを射貫いている。
「え……」
唇が離れた瞬間、思わず動揺して声が漏れた。
甘いキスに本当に脳まで溶けてしまったのか……。私はふいに、とんでもなくバカな質問を彼へ投げかける。
「これは……政略結婚なんですよね?」
「……そうだ」
ドクンドクンと、心臓が高鳴っている。
余計な感情はいらないと言われたはずなのに、どうして一瞬でもキスに愛を感じてしまったんだろうか。
冷たい言葉とは裏腹な優しい触り方に、ますます勘違いしてしまいそうになる。
私たちは完全にお互い合意の上で、愛のない政略結婚を選んだはずなのに――。