お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
ランチの開始時間まであと五分。
今日の日替わりレシピは、私が考えたタイ料理の定食だ。
メイン料理はカオマンガイで、副菜は海老とブロッコリーのエスニック風サラダ、スープはもやしを具材にして価格を抑えた。
カオマンガイのソースにはたっぷりしょうがを入れて、風味をよくする工夫もした。
とくに女性社員たちに、タイ料理は最近人気のメニューなのだ。
今日は私がメニューを聞いてさばく役割なので、トレーが積み重なっている位置で社員が来るまで待っていた。
すると、数分後にぽつぽつと社員が現れて、次々に食券を購入し始める。
「今日の日替わりはカオマンガイでーす」
メニューに悩んでいる社員たちにそれとなく伝えて、私は食券と引き換えにトレーを手渡しした。
今日はポイント五倍デーでお客さんが多い日だから、皆さんきっとお疲れだろう。
そんなことを思いながら働いていると、何やら入り口付近がザワついていることに気づいた。
「なんだ……?」と疑問に思い視線を入り口に向けるが、何やら女性社員が団子状態で集まっていて、何が騒がれているのか見えない。
入り口のそばにいた女性社員は、軒並み口に手を当てながら目を丸くしている。
よくよく目を凝らして見ると、何やらひとりだけオーラが明らかに違う人物がチラッと見えた。
「まさか……」
そんな言葉が、ぽろっと口から零れ落ちる。
目を疑いたくなったが、しかしそこにはまぎれもなく常人離れした華やかなオーラを纏った彼――高臣さんがいた。
もしかして、私が知らないだけでたまに社食を利用していたとか……?
いや、そんなことありえない。ここは基本的には各店舗のスタッフが利用する食堂だ。
周りの女性もひそひそ声で「なんで代表がここに……?」とか、「かっこよすぎて直視できない」とか、「芸能人かと思った」なんて会話をしてる。
いったいなぜこのタイミングで……。もしかして私の仕事ぶりの偵察とか?
いや、そんなことしてもまったく意味がない……。
なんてぐるぐると疑問が渦巻いているうちに、高臣さんが近くまでやってきた。
「凛……」
「今日の日替わりはカオマンガイです!」
自分の名前が呼ばれかけた気がして、私は瞬時にメニューを伝えて彼の言葉をかき消した。
私の反応を見て、彼は「ああ」と何かを思い出したように、静かに頷く。
今日の日替わりレシピは、私が考えたタイ料理の定食だ。
メイン料理はカオマンガイで、副菜は海老とブロッコリーのエスニック風サラダ、スープはもやしを具材にして価格を抑えた。
カオマンガイのソースにはたっぷりしょうがを入れて、風味をよくする工夫もした。
とくに女性社員たちに、タイ料理は最近人気のメニューなのだ。
今日は私がメニューを聞いてさばく役割なので、トレーが積み重なっている位置で社員が来るまで待っていた。
すると、数分後にぽつぽつと社員が現れて、次々に食券を購入し始める。
「今日の日替わりはカオマンガイでーす」
メニューに悩んでいる社員たちにそれとなく伝えて、私は食券と引き換えにトレーを手渡しした。
今日はポイント五倍デーでお客さんが多い日だから、皆さんきっとお疲れだろう。
そんなことを思いながら働いていると、何やら入り口付近がザワついていることに気づいた。
「なんだ……?」と疑問に思い視線を入り口に向けるが、何やら女性社員が団子状態で集まっていて、何が騒がれているのか見えない。
入り口のそばにいた女性社員は、軒並み口に手を当てながら目を丸くしている。
よくよく目を凝らして見ると、何やらひとりだけオーラが明らかに違う人物がチラッと見えた。
「まさか……」
そんな言葉が、ぽろっと口から零れ落ちる。
目を疑いたくなったが、しかしそこにはまぎれもなく常人離れした華やかなオーラを纏った彼――高臣さんがいた。
もしかして、私が知らないだけでたまに社食を利用していたとか……?
いや、そんなことありえない。ここは基本的には各店舗のスタッフが利用する食堂だ。
周りの女性もひそひそ声で「なんで代表がここに……?」とか、「かっこよすぎて直視できない」とか、「芸能人かと思った」なんて会話をしてる。
いったいなぜこのタイミングで……。もしかして私の仕事ぶりの偵察とか?
いや、そんなことしてもまったく意味がない……。
なんてぐるぐると疑問が渦巻いているうちに、高臣さんが近くまでやってきた。
「凛……」
「今日の日替わりはカオマンガイです!」
自分の名前が呼ばれかけた気がして、私は瞬時にメニューを伝えて彼の言葉をかき消した。
私の反応を見て、彼は「ああ」と何かを思い出したように、静かに頷く。