お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
今までずっと眠っていた脳の一部が起こされたかのような……、そんな衝撃だ。
自分からドライな関係を求めたはずなのに、その笑顔を見た瞬間、どうしようもなく独占欲に駆り立てられてしまった。
目の前にいる彼女が欲しくてたまらないという衝動が、あの日からずっとおさまらない。
仕事をしているときに気持ちが乱れることはないが、仕事以外の時間での気持ちのコントロールの仕方が、自分でも分からずにいる。
「まあ、結婚相手にならどれだけうつつを抜かしてもかまいませんが、お父様から伝言がございます」
「なんだ。簡潔に言え」
「今週土曜、経営者を集めたパーティーがありますよね。そこにご婚約者の凛子さんと一緒に来てください。断ることはできません、とのことです」
「却下だ。俺ひとりで行く」
「無理です。凛子さんと婚約の話があろうとなかろうと、この日までに親族に、パートナーを紹介する約束だったはずです」
ロボットの様に話し続ける妹に、俺は深いため息をついた。
……そんな期限付きの約束を、すっかり忘れていた。
縁談を断り続けてきたことにしびれを切らしたある親族が、この日までに相手を紹介しなければ、無理やり結婚相手を見つけて婚約させると断言していたのだ。
しかしそんな内々の約束など、凛子には関係ないことだ。巻き込みたくない。
「もしかして、うちのくそ面倒でドロドロとした親族関係に巻き込みたくないなんて、思ってらっしゃいますか」
「……口が悪いぞ」
「本当にその方が大事なら、最初に見せておくべきです。結婚したあとから知るなんて、残酷だと思いませんか」
「……」
「お父様にはお二人で出席すると伝えておきますね。言っときますけど、お父様だってまだ婚約したばかりの凛子さんを連れて行くのは重々申し訳ないと思っていての、命令ですから。今後のことを長い目で見て判断してください。では、失礼します」
咲菜の、"本当に大事なら"という言葉が、胸の中につっかえて、何も言えなくなってしまった。
平坦な「失礼します」という挨拶と共に、バタンとドアが締められ、一人部屋に残った俺は、しばらくパソコンを眺めながら考え込んだ。
……がしかし、すぐに再びドアが開いて、咲菜が一言だけ付け加える。
自分からドライな関係を求めたはずなのに、その笑顔を見た瞬間、どうしようもなく独占欲に駆り立てられてしまった。
目の前にいる彼女が欲しくてたまらないという衝動が、あの日からずっとおさまらない。
仕事をしているときに気持ちが乱れることはないが、仕事以外の時間での気持ちのコントロールの仕方が、自分でも分からずにいる。
「まあ、結婚相手にならどれだけうつつを抜かしてもかまいませんが、お父様から伝言がございます」
「なんだ。簡潔に言え」
「今週土曜、経営者を集めたパーティーがありますよね。そこにご婚約者の凛子さんと一緒に来てください。断ることはできません、とのことです」
「却下だ。俺ひとりで行く」
「無理です。凛子さんと婚約の話があろうとなかろうと、この日までに親族に、パートナーを紹介する約束だったはずです」
ロボットの様に話し続ける妹に、俺は深いため息をついた。
……そんな期限付きの約束を、すっかり忘れていた。
縁談を断り続けてきたことにしびれを切らしたある親族が、この日までに相手を紹介しなければ、無理やり結婚相手を見つけて婚約させると断言していたのだ。
しかしそんな内々の約束など、凛子には関係ないことだ。巻き込みたくない。
「もしかして、うちのくそ面倒でドロドロとした親族関係に巻き込みたくないなんて、思ってらっしゃいますか」
「……口が悪いぞ」
「本当にその方が大事なら、最初に見せておくべきです。結婚したあとから知るなんて、残酷だと思いませんか」
「……」
「お父様にはお二人で出席すると伝えておきますね。言っときますけど、お父様だってまだ婚約したばかりの凛子さんを連れて行くのは重々申し訳ないと思っていての、命令ですから。今後のことを長い目で見て判断してください。では、失礼します」
咲菜の、"本当に大事なら"という言葉が、胸の中につっかえて、何も言えなくなってしまった。
平坦な「失礼します」という挨拶と共に、バタンとドアが締められ、一人部屋に残った俺は、しばらくパソコンを眺めながら考え込んだ。
……がしかし、すぐに再びドアが開いて、咲菜が一言だけ付け加える。