お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
「あ、言い忘れたんですけど、あんまり彼女に構いすぎて、嫌われないように。人に対してハマっているのは見たことがないですが、兄さんもともと仕事や勉強で執着心が強すぎて暴走してるときあるんで。じゃ」
それだけ言い残して、彼女はすぐにドアを閉めて消え去った。
俺はますます考え事が多くなり、しばらく仕事が手につかなくなってしまった。
〇
金と名誉のことしか頭にない親族に、凛子を紹介して彼女の心を疲弊させるのは、とても気が引ける。
しかし、免れるには会場ごと潰す以外に方法がない。
長い目で見て凛子のためになるのは、今出席してもらうべきなのだろうか……彼女に選んでもらうしかない。
頭を抱えながらマンションに帰ると、ドアを開けた瞬間にいい香りが漂った。
「あ、高臣さん。おかえりなさい」
……一秒前まで悩んでいたことが吹っ飛ぶほど、愛おしい笑顔に迎えられた。
一気にストレス値が激減して、そのまま抱き締めたい衝動に駆られるが、咲菜の言葉を思い出してグッと我慢をする。
凛子はベージュのエプロンを付けていて、きれいな髪の毛をひとつに束ねている。
どうやら夕飯を作ってくれていたようで、ダイニングテーブルにはおかずが数品並んでいた。
「ちょうど今できたところだったんです。差し支えなければ、一緒に食べてもいいですか?」
「ああ、もちろん」
俺はスーツの上着だけ脱いで、シャツ姿になってから、ダイニングチェアに座った。
凛子が作ってくれたのは、とても美味しそうな和食だった。
「家庭的なものばかりで申し訳ないですが……。魚の煮つけと、和風ポテトサラダと、茶碗蒸しです」
「……すごく美味しそうだ。見た目も美しい」
「ポテトサラダには鰹節が入っているんです。だしが効いていて、結構美味しいですよ。母に教えてもらったんです」
そう言って、凛子もエプロンを脱いで着席した。
彼女も働いたあとだというのに、こんなにキチンとした食事を作ってくれたのか。
「どうぞ召し上がってください」
心の中で感謝をしながら、俺は凛子の料理を口に運んだ。
彼女の母直伝だというポテトサラダは、たしかにだしがよく聞いていて味わい深く、和のおかずと上手く調和している。
俺は一口食べてすぐに「美味しい」とつぶやいてしまった。
無表情な俺の素直な反応を見て、凛子は本当に嬉しそうにしている。
それだけ言い残して、彼女はすぐにドアを閉めて消え去った。
俺はますます考え事が多くなり、しばらく仕事が手につかなくなってしまった。
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金と名誉のことしか頭にない親族に、凛子を紹介して彼女の心を疲弊させるのは、とても気が引ける。
しかし、免れるには会場ごと潰す以外に方法がない。
長い目で見て凛子のためになるのは、今出席してもらうべきなのだろうか……彼女に選んでもらうしかない。
頭を抱えながらマンションに帰ると、ドアを開けた瞬間にいい香りが漂った。
「あ、高臣さん。おかえりなさい」
……一秒前まで悩んでいたことが吹っ飛ぶほど、愛おしい笑顔に迎えられた。
一気にストレス値が激減して、そのまま抱き締めたい衝動に駆られるが、咲菜の言葉を思い出してグッと我慢をする。
凛子はベージュのエプロンを付けていて、きれいな髪の毛をひとつに束ねている。
どうやら夕飯を作ってくれていたようで、ダイニングテーブルにはおかずが数品並んでいた。
「ちょうど今できたところだったんです。差し支えなければ、一緒に食べてもいいですか?」
「ああ、もちろん」
俺はスーツの上着だけ脱いで、シャツ姿になってから、ダイニングチェアに座った。
凛子が作ってくれたのは、とても美味しそうな和食だった。
「家庭的なものばかりで申し訳ないですが……。魚の煮つけと、和風ポテトサラダと、茶碗蒸しです」
「……すごく美味しそうだ。見た目も美しい」
「ポテトサラダには鰹節が入っているんです。だしが効いていて、結構美味しいですよ。母に教えてもらったんです」
そう言って、凛子もエプロンを脱いで着席した。
彼女も働いたあとだというのに、こんなにキチンとした食事を作ってくれたのか。
「どうぞ召し上がってください」
心の中で感謝をしながら、俺は凛子の料理を口に運んだ。
彼女の母直伝だというポテトサラダは、たしかにだしがよく聞いていて味わい深く、和のおかずと上手く調和している。
俺は一口食べてすぐに「美味しい」とつぶやいてしまった。
無表情な俺の素直な反応を見て、凛子は本当に嬉しそうにしている。