お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
凛子はパジャマ姿のまま紺色のドレスを手に持ってきて、何やら慌てた様子で必死に説明しだす。
「このドレス、随分前に買ったものなんですけど、チャックが壊れて放置していたことを今着てから思い出しまして……」
「きれいなドレスだな。あとで直そう」
「昨日の夜に試着して確認すればよかったです。まともな服がこれしかなくて……。し、しかも、ヘアサロンの予約を取り間違えていることに気づきまして……」
「そんなことで焦っているのか」
「え?」
パーティーまであと一時間半もある。
焦っている凛子をもっと眺めていたかったが、俺はすぐにある人物に電話をして、マンションへ呼び出した。
「あの、高臣さん……? 私はどうすれば……」
「大丈夫だ。すぐに解決する」
凛子に落ち着いてテレビでも観ようと伝えて、一緒に待つこと十五分。
インターホンが鳴ると、画面に奇抜な格好をしたふたりの女性が映った。
俺はその人物をマンション内へと招き入れる。
「おはようございます、代表……あ、間違えました、高臣兄さん」
「どっちでもいい。中に入れ」
やってきたのは黒のタイトなドレス姿の咲菜と、うちと仲のいいフリーランスの美容師、岸田(キシダ)さんだ。
赤髪でボブスタイルの岸田さんは、俺のマンションをきょろきょろと物珍しげに見ながら靴を脱いだ。
「ちょうど咲菜さんのメイクが終わったところでよかったですー。ていうか、高臣ぼっちゃんの部屋、初めて見ました。なんか、綺麗な倉庫みたいですねー」
「どんな感想だ。あとその呼び方をやめろ」
「あはは。それで、困っているお嬢さんはどちらに?」
俺を押しのけて咲菜と岸田さんは部屋の中へと進んでいく。
ふたりを見た凛子は驚いたように立ち上がり、ぺこっと高速で頭を下げた。
「は、はじめまして! 高梨凛子と申します。あの、すみません、パジャマ姿で……。高臣さん、この方々は……」
「妹の咲菜と、ほとんどうちの専属みたいな美容師の、岸田さんだ。咲菜は無駄に服を持っているから借りればいい。髪やメイクは岸田さんに任せれば何も問題ない」
「え!? 妹さんに専属美容師さん……。よ、よろしくお願いいたします! すみません、私が間抜けなせいでお二人に急遽来て頂くことになり……!」
「このドレス、随分前に買ったものなんですけど、チャックが壊れて放置していたことを今着てから思い出しまして……」
「きれいなドレスだな。あとで直そう」
「昨日の夜に試着して確認すればよかったです。まともな服がこれしかなくて……。し、しかも、ヘアサロンの予約を取り間違えていることに気づきまして……」
「そんなことで焦っているのか」
「え?」
パーティーまであと一時間半もある。
焦っている凛子をもっと眺めていたかったが、俺はすぐにある人物に電話をして、マンションへ呼び出した。
「あの、高臣さん……? 私はどうすれば……」
「大丈夫だ。すぐに解決する」
凛子に落ち着いてテレビでも観ようと伝えて、一緒に待つこと十五分。
インターホンが鳴ると、画面に奇抜な格好をしたふたりの女性が映った。
俺はその人物をマンション内へと招き入れる。
「おはようございます、代表……あ、間違えました、高臣兄さん」
「どっちでもいい。中に入れ」
やってきたのは黒のタイトなドレス姿の咲菜と、うちと仲のいいフリーランスの美容師、岸田(キシダ)さんだ。
赤髪でボブスタイルの岸田さんは、俺のマンションをきょろきょろと物珍しげに見ながら靴を脱いだ。
「ちょうど咲菜さんのメイクが終わったところでよかったですー。ていうか、高臣ぼっちゃんの部屋、初めて見ました。なんか、綺麗な倉庫みたいですねー」
「どんな感想だ。あとその呼び方をやめろ」
「あはは。それで、困っているお嬢さんはどちらに?」
俺を押しのけて咲菜と岸田さんは部屋の中へと進んでいく。
ふたりを見た凛子は驚いたように立ち上がり、ぺこっと高速で頭を下げた。
「は、はじめまして! 高梨凛子と申します。あの、すみません、パジャマ姿で……。高臣さん、この方々は……」
「妹の咲菜と、ほとんどうちの専属みたいな美容師の、岸田さんだ。咲菜は無駄に服を持っているから借りればいい。髪やメイクは岸田さんに任せれば何も問題ない」
「え!? 妹さんに専属美容師さん……。よ、よろしくお願いいたします! すみません、私が間抜けなせいでお二人に急遽来て頂くことになり……!」