お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
「…………」
「あなたの気持ちなんて関係ないのよ。感情であなたの人生を決めていいと思ってるの? 私たちはそんな階級の人間じゃないわ。こんなド庶民と結婚してどうするっていうの」
いくら会場がザワついていると言えど、凛子にも聞こえてしまっているだろう。
……いや、わざと聞こえるように言っているのか。
こんな奴と話す価値もない。俺は凛子の手を握ってその場を去ろうとした。
――しかし、凛子は立ち止まったまま、一歩も動かない。そして、里佳子さんの目を真っ直ぐ見て、こう言い放ったのだ。
「あの、私は決して高臣さんに相応しい人間ではないですけれど、それを決めるのは、高臣さんです」
「え……?」
凛子は、驚き一瞬固まった里佳子さんに、まったく物怖じすることなく自分の意見を伝える。
「他人が勝手に決めていい人生なんて、あっていいんでしょうか」
「な……、何を突然失礼なことを! 出て行きなさい!」
激昂する里佳子さんの言葉に、凛子はぺこっと頭を下げて、今度こそ会場の出口へと向かっていく。
里佳子さんは口をあんぐりと開けて、何が起きたのか分からなという顔をしていた。
俺はその顔を見て笑いを堪えきれずに、静かに吹き出してから、去り際に里佳子さんへ宣言する。
「誰がなんと言おうと、俺は彼女以外選びません」
「……そんなにバカな人間だったのね。残念だわ」
「失礼します」
軽く頭を下げてから、俺は急いで凛子のことを追いかけた。
彼女はホテルの入り口付近で、俯いてその場に立ち尽くしている。
もしかしたら泣いているのか……と思い、そっとそばによって顔を覗き込むと、彼女は眉間にしわを寄せて怒り狂った顔をしていた。
「高臣さんっ、さっきの方は本当に親族なんですか」
「凛子……、怒っているのか?」
「怒ってますよ! あんな、高臣さんを金脈としか思っていないような言い方……、むしろ怒らないんですか!?」
怒った顔もかわいい……という感情が数秒生まれたが、今は凛子の気持ちを考える場面だ。
俺は彼女の言葉をひと通り聞こうと、言葉を待つ。
「でも……、あんな生意気な返し方はすべきじゃなかったと、今すでに猛省中です……。ほんと、ただの政略結婚相手が、すみません」
「凛子……」
「あぁ……順調に結婚したら、今後何度もお会いするかもしれないのに……本当に私って……」
「あなたの気持ちなんて関係ないのよ。感情であなたの人生を決めていいと思ってるの? 私たちはそんな階級の人間じゃないわ。こんなド庶民と結婚してどうするっていうの」
いくら会場がザワついていると言えど、凛子にも聞こえてしまっているだろう。
……いや、わざと聞こえるように言っているのか。
こんな奴と話す価値もない。俺は凛子の手を握ってその場を去ろうとした。
――しかし、凛子は立ち止まったまま、一歩も動かない。そして、里佳子さんの目を真っ直ぐ見て、こう言い放ったのだ。
「あの、私は決して高臣さんに相応しい人間ではないですけれど、それを決めるのは、高臣さんです」
「え……?」
凛子は、驚き一瞬固まった里佳子さんに、まったく物怖じすることなく自分の意見を伝える。
「他人が勝手に決めていい人生なんて、あっていいんでしょうか」
「な……、何を突然失礼なことを! 出て行きなさい!」
激昂する里佳子さんの言葉に、凛子はぺこっと頭を下げて、今度こそ会場の出口へと向かっていく。
里佳子さんは口をあんぐりと開けて、何が起きたのか分からなという顔をしていた。
俺はその顔を見て笑いを堪えきれずに、静かに吹き出してから、去り際に里佳子さんへ宣言する。
「誰がなんと言おうと、俺は彼女以外選びません」
「……そんなにバカな人間だったのね。残念だわ」
「失礼します」
軽く頭を下げてから、俺は急いで凛子のことを追いかけた。
彼女はホテルの入り口付近で、俯いてその場に立ち尽くしている。
もしかしたら泣いているのか……と思い、そっとそばによって顔を覗き込むと、彼女は眉間にしわを寄せて怒り狂った顔をしていた。
「高臣さんっ、さっきの方は本当に親族なんですか」
「凛子……、怒っているのか?」
「怒ってますよ! あんな、高臣さんを金脈としか思っていないような言い方……、むしろ怒らないんですか!?」
怒った顔もかわいい……という感情が数秒生まれたが、今は凛子の気持ちを考える場面だ。
俺は彼女の言葉をひと通り聞こうと、言葉を待つ。
「でも……、あんな生意気な返し方はすべきじゃなかったと、今すでに猛省中です……。ほんと、ただの政略結婚相手が、すみません」
「凛子……」
「あぁ……順調に結婚したら、今後何度もお会いするかもしれないのに……本当に私って……」