お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
というか、私に好きな人ができようができなかろうが、高臣さんの知ったことではないのかもしれないし……。
そう思うと、なぜか胸の一部がチクッっと痛んだ。
私はその痛みに気づかないふりをして、もやもやをかき消すようにコーヒーを一気飲みした。
実家から職場まで通う時間の、三分の一以下で百貨店に着いてしまった。
久々にゆっくりとした朝を過ごしてから出社し、スタッフルームを開けると、岡田さんが珍しく私よりも先に職場についていた。
彼女はすでに作業着に着替え終えて、何やらスマホを真剣に見つめている。
「また推しのライブ映像ですか?」
「わっ、びっくりした! 高梨ちゃんか、おはよう」
「おはようございます。朝からすごい集中力ですね」
うしろからひょいとその様子を眺めると、岡田さんは驚いたようにこちらを振り返る。
どうやらライブ映像ではなく、朝の報道番組に新人アイドルが出ているようで、岡田さんはリアルタイムで観るためにはやく出社したようだ。
たった二分程度の出演が終わると、岡田さんはイヤホンを外して感嘆の声をもらす。
「はー、美しかった……。なんてフレッシュ……」
「その若手アイドル、岡田さんも好きだったんですね」
「いや、この子たちは本命じゃないよ! なんだろう、弟的な立ち位置というか……、ペット的な可愛さを求めているというか……。本命を見てるときとはまた違う感覚なのよね」
「はあ、そういうものなんですね」
いつも通り、話をよく分からないままに聞いていた私だが、「弟的な立ち位置」という言葉を聞いて、ふと永亮のことが思い浮かんだ。
そうだ。私にとって永亮は家族で、双子の弟的な存在だ。
だから、告白されて本当に戸惑ったし、今までの関係性が私と永亮の視点でまったく違ったことに少なからず衝撃を受けた。
私は、確認するように岡田さんに問いかける。
「弟的な存在っていうのは……、つまり、恋愛対象ではないということですよね?」
「そりゃそうよ。いくつ離れてると思ってんの。もはやギリギリ産めるわ」
「で、本命との違いっていうのは……」
「そりゃもう、本命は見てるだけでドキドキするし、頭の中が占領されまくってるわ」
「占領……」
たしかに、何をどう考えても、永亮に対してドキドキすることはない。
そう思うと、なぜか胸の一部がチクッっと痛んだ。
私はその痛みに気づかないふりをして、もやもやをかき消すようにコーヒーを一気飲みした。
実家から職場まで通う時間の、三分の一以下で百貨店に着いてしまった。
久々にゆっくりとした朝を過ごしてから出社し、スタッフルームを開けると、岡田さんが珍しく私よりも先に職場についていた。
彼女はすでに作業着に着替え終えて、何やらスマホを真剣に見つめている。
「また推しのライブ映像ですか?」
「わっ、びっくりした! 高梨ちゃんか、おはよう」
「おはようございます。朝からすごい集中力ですね」
うしろからひょいとその様子を眺めると、岡田さんは驚いたようにこちらを振り返る。
どうやらライブ映像ではなく、朝の報道番組に新人アイドルが出ているようで、岡田さんはリアルタイムで観るためにはやく出社したようだ。
たった二分程度の出演が終わると、岡田さんはイヤホンを外して感嘆の声をもらす。
「はー、美しかった……。なんてフレッシュ……」
「その若手アイドル、岡田さんも好きだったんですね」
「いや、この子たちは本命じゃないよ! なんだろう、弟的な立ち位置というか……、ペット的な可愛さを求めているというか……。本命を見てるときとはまた違う感覚なのよね」
「はあ、そういうものなんですね」
いつも通り、話をよく分からないままに聞いていた私だが、「弟的な立ち位置」という言葉を聞いて、ふと永亮のことが思い浮かんだ。
そうだ。私にとって永亮は家族で、双子の弟的な存在だ。
だから、告白されて本当に戸惑ったし、今までの関係性が私と永亮の視点でまったく違ったことに少なからず衝撃を受けた。
私は、確認するように岡田さんに問いかける。
「弟的な存在っていうのは……、つまり、恋愛対象ではないということですよね?」
「そりゃそうよ。いくつ離れてると思ってんの。もはやギリギリ産めるわ」
「で、本命との違いっていうのは……」
「そりゃもう、本命は見てるだけでドキドキするし、頭の中が占領されまくってるわ」
「占領……」
たしかに、何をどう考えても、永亮に対してドキドキすることはない。