お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
幸いにも百合とは席が離れていたため、俺は絡まれる前にと店の外へ出ようとする。
「待って高臣君! 百合が送る!」
しかし、甲高い声が俺を引き留めた。ゆっくり振り返ると、そこには母親似の派手な巻髪スタイルの百合がいる。
彼女はこのときを待ってましたと言わんばかりに、俺の顔をキラキラした瞳で見つめている。しかし、俺は秒でその期待に満ち溢れたオーラを無視した。
「いや、大丈夫だ」
「私も高臣君と一緒に帰る!」
「人の話を聞け」
咲菜が、あからさまにげんなりした俺の様子を、遠くの席からニヤニヤと見ていることに腹が立つ。
もういい。俺は一刻も早く帰って、凛子に会いたいんだ。
この厄介なおまけがタクシー乗り場までついてこようが、無視し続ければいいだけの話。
百合は存在しないこととして、タクシー乗り場へ向かうことにした。
「ねぇ高臣君、婚約したって本当? ねぇ婚約相手の写メ見せて」
「………」
「その人百合より可愛い? 百合より頭いい? ていうか何歳?」
中央通りに出ても、腕を組んで引っ付いてくる百合。
銀座の街はまだまだ明るく、通り過ぎる人々の視線を少しだけ感じる。
しかし、俺は今心を殺しているので、何か人形的なものが腕に張り付いているという感覚だ。
彼女のすべての質問を無視して、俺は無言で手を上げてタクシーを止めようとした。
そのとき、ずっと無視され続けていた百合が、「高臣君!」と大声を上げた。
さすがの声量に驚き、彼女の方を見ると、百合は「やっと目を合わせてくれた」と瞳を潤ませる。
「百合、本当に高臣君のこと好きなんだよ! 今、入社した部署でちやほやされてるけど、高臣君以上の男なんていないの」
「……百合、何度も言っているが、百合と付き合う気はない」
「嫌だ! 諦められない。だって高臣君は王子様なんだもん。小学生のころから伝説的にモテてる、高臣君みたいな人が近くにいたら、他の人探せないよ……!」
そう言って、突然百合が俺に抱き着いてきた。
すぐに肩を押してはがそうとするが、がっちりと両腕が回されており、簡単には離れてくれない。
俺は深くため息をついて、諭すように彼女の背中をポンと叩く。
俺だって、十も年が離れた従妹にキツイことはこれ以上言いたくないというのに。
「百合、これ以上聞かされても答えは変わらない」
「待って高臣君! 百合が送る!」
しかし、甲高い声が俺を引き留めた。ゆっくり振り返ると、そこには母親似の派手な巻髪スタイルの百合がいる。
彼女はこのときを待ってましたと言わんばかりに、俺の顔をキラキラした瞳で見つめている。しかし、俺は秒でその期待に満ち溢れたオーラを無視した。
「いや、大丈夫だ」
「私も高臣君と一緒に帰る!」
「人の話を聞け」
咲菜が、あからさまにげんなりした俺の様子を、遠くの席からニヤニヤと見ていることに腹が立つ。
もういい。俺は一刻も早く帰って、凛子に会いたいんだ。
この厄介なおまけがタクシー乗り場までついてこようが、無視し続ければいいだけの話。
百合は存在しないこととして、タクシー乗り場へ向かうことにした。
「ねぇ高臣君、婚約したって本当? ねぇ婚約相手の写メ見せて」
「………」
「その人百合より可愛い? 百合より頭いい? ていうか何歳?」
中央通りに出ても、腕を組んで引っ付いてくる百合。
銀座の街はまだまだ明るく、通り過ぎる人々の視線を少しだけ感じる。
しかし、俺は今心を殺しているので、何か人形的なものが腕に張り付いているという感覚だ。
彼女のすべての質問を無視して、俺は無言で手を上げてタクシーを止めようとした。
そのとき、ずっと無視され続けていた百合が、「高臣君!」と大声を上げた。
さすがの声量に驚き、彼女の方を見ると、百合は「やっと目を合わせてくれた」と瞳を潤ませる。
「百合、本当に高臣君のこと好きなんだよ! 今、入社した部署でちやほやされてるけど、高臣君以上の男なんていないの」
「……百合、何度も言っているが、百合と付き合う気はない」
「嫌だ! 諦められない。だって高臣君は王子様なんだもん。小学生のころから伝説的にモテてる、高臣君みたいな人が近くにいたら、他の人探せないよ……!」
そう言って、突然百合が俺に抱き着いてきた。
すぐに肩を押してはがそうとするが、がっちりと両腕が回されており、簡単には離れてくれない。
俺は深くため息をついて、諭すように彼女の背中をポンと叩く。
俺だって、十も年が離れた従妹にキツイことはこれ以上言いたくないというのに。
「百合、これ以上聞かされても答えは変わらない」