お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
凛子に必死にお願いされて、俺は思い切り舌打ちをしながらようやくベッドから下りた。
そして、不機嫌なままリビングに向かい、電話相手が表示されたスマホの画面を見て、苛立ちが倍増した。
『高臣兄さん、おはようございます』
「お前か……」
ロボットのような話し方の咲菜が、相変わらずのトーンで電話に出た。
思い切り不機嫌な声の俺に全く動じずに、咲菜は淡々と語りだす。こいつが俺に用があるときは、だいたいよくない知らせだが……。
『京都店の経営がどうも上手くいっていないようで、高臣さんのお力を貸してほしいと連絡がありました』
「そんなこと、週明けに会社で言えばいいだろう」
『ちょうど一カ月後の十日からしか高臣兄さんの日程が合わなかったので、その日に約束を取ってよろしいでしょうか』
「分かったが……、お前俺の話を聞いているのか」
低い声で注意をすると、咲菜は再び淡々と返す。
『すみません、月曜から私が長期休暇を頂いているので、忘れないうちにと思い』
「ああ、そういえばそうだったな」
『もしかして……、兄夫婦のラブラブな朝を邪魔してしまったでしょうか、私』
そこまで聞くと、俺はスマホの電源ごと切ってソファーに投げた。
あいつ、絶対に俺のプライベートにちょっかいを出すためにわざとかけてきたな。
静かな怒りがこみ上げてくるが、ここで怒り狂ったらたらあいつの思うつぼだ。
なんとか冷静さを取り戻し、俺はスケジュール帳に京都出張の日程を書き込む。
そこではたと気づいた。ちょうど出張と凛子の長期休暇が被っていたのだ。
以前、シフト制の凛子と休日の予定を合わせるために、事前に聞いていてよかった。
「あの、お電話大丈夫でしたか?」
「ああ、ただの咲菜だった」
そこにちょうど、私服に着替えた凛子がひょっこりと現れた。
スケジュールを見て、ふと思ったことを凛子に投げかけてみる。
「凛子……京都は好きか?」
「京都ですか……? 有名な和菓子店がたくさんあるので、好きです。最近はあんまり行けていないですが……」
「八月の長期休暇、とくに予定がなければ、一緒に京都に行かないか」
「え……! いいんですか?」
突然の提案だったが、凛子はパアッと表情を明るくして、とても喜んでいる。
本当に、和菓子のことが好きなんだな。
そして、不機嫌なままリビングに向かい、電話相手が表示されたスマホの画面を見て、苛立ちが倍増した。
『高臣兄さん、おはようございます』
「お前か……」
ロボットのような話し方の咲菜が、相変わらずのトーンで電話に出た。
思い切り不機嫌な声の俺に全く動じずに、咲菜は淡々と語りだす。こいつが俺に用があるときは、だいたいよくない知らせだが……。
『京都店の経営がどうも上手くいっていないようで、高臣さんのお力を貸してほしいと連絡がありました』
「そんなこと、週明けに会社で言えばいいだろう」
『ちょうど一カ月後の十日からしか高臣兄さんの日程が合わなかったので、その日に約束を取ってよろしいでしょうか』
「分かったが……、お前俺の話を聞いているのか」
低い声で注意をすると、咲菜は再び淡々と返す。
『すみません、月曜から私が長期休暇を頂いているので、忘れないうちにと思い』
「ああ、そういえばそうだったな」
『もしかして……、兄夫婦のラブラブな朝を邪魔してしまったでしょうか、私』
そこまで聞くと、俺はスマホの電源ごと切ってソファーに投げた。
あいつ、絶対に俺のプライベートにちょっかいを出すためにわざとかけてきたな。
静かな怒りがこみ上げてくるが、ここで怒り狂ったらたらあいつの思うつぼだ。
なんとか冷静さを取り戻し、俺はスケジュール帳に京都出張の日程を書き込む。
そこではたと気づいた。ちょうど出張と凛子の長期休暇が被っていたのだ。
以前、シフト制の凛子と休日の予定を合わせるために、事前に聞いていてよかった。
「あの、お電話大丈夫でしたか?」
「ああ、ただの咲菜だった」
そこにちょうど、私服に着替えた凛子がひょっこりと現れた。
スケジュールを見て、ふと思ったことを凛子に投げかけてみる。
「凛子……京都は好きか?」
「京都ですか……? 有名な和菓子店がたくさんあるので、好きです。最近はあんまり行けていないですが……」
「八月の長期休暇、とくに予定がなければ、一緒に京都に行かないか」
「え……! いいんですか?」
突然の提案だったが、凛子はパアッと表情を明るくして、とても喜んでいる。
本当に、和菓子のことが好きなんだな。