俺様社長と溺愛婚前同居!?
プロローグ
今、私は目の前で起きていることが理解できずにフリーズしてしまっている。
目の前には、取引先の社長――鴻上賢人さん。
二十九歳という若さで自身の会社を持ち、ライフメディアプラットフォーム事業で成功している超がつくほど有能な人だ。
学歴もさることながら、仕事も完璧で、ハイスペックな男性の代表のような人。
しかし、鴻上さんはそれだけじゃない。
見た目も素晴らしく、長身で、爽やか。風になびいたようなヘアスタイルに、意志の強そうな男らしいきりっとした目元。
鼻も高くて、形のいい唇が完璧な配置で並んでいる。
一般人とは思えないような格好よさで、芸能人だと言われたら納得するような容姿だ。
――そんな人と、どうして私が……?
私は、目をまん丸くして彼のことを見つめている。
「おい、高梨結花。何とか言え」
そう言われても!
何と言っていいか分からない。何をされたのかさえ、未だ把握できていないのに。
鴻上さんは、いつもクールで、こっちが笑いかけても基本無視。
周りにいる社員さんたちには優しいのに、私には話しかけてくれない。
「好きな食べ物はありますか?」
そう聞いても返事はなかなか返ってこないし。
< 1 / 177 >