俺様社長と溺愛婚前同居!?

「け、賢人さん、もう寝ようよ。明日も早いし!」

「明日早いの? 日曜日なのに?」

「え、あ……ああ、うん。ほら、朝食の用意とか、あるし」


 ふうん、と目を細めて怪しむ賢人さんから逃れて、私はベッドの上に乗っているふかふかの布団をめくった。


「ほら、寝よ」

「案外積極的なんだな」


 奥に私が入って、その隣をぽんぽんと叩いて早く寝ようと誘う。

 余裕の態度の賢人さんは、くすくすと笑いながら私の隣に入ってきた。


「結花って、今まで誰とも付き合ったことないって本当?」

「な、なんでそれを……」

「風の噂で聞いた」

「風の噂……」


 櫻井さんに話したことを思い出して、きっとそこから話が漏れたのだろう。別に隠していないから誰に知られてもいいのだけど。


「そうだよ。今まで一度も付き合ったことない」

「そうなんだ。じゃあ、全部俺が初めてってことか」

「変な言い方しないでよ」


 賢人さんと結婚することになったけれど、恋愛をするわけでもないし形式上の夫婦だ。こうやってスキンシップを取ろうとしているのも、本物の夫婦に見せるためのものでしょ?


「手を繋ぐのも、一緒に住むのも、一緒に寝るのも俺が初めてなんだろ?」

「そ、そうだけど……」

「これから、楽しいことだらけだな。俺と一緒に、いろいろ経験していこうな」
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