俺様社長と溺愛婚前同居!?

「結花。手、貸して」

「や、やだ……っ、だめ」

「いいから」

 嫌な予感しかしなくて、手を後ろに引っ込めるのに、賢人さんは私の手首を掴んでにっこりと微笑む。

「何回も言うように、俺に慣れなきゃだめだろ。旦那の裸を見て恥ずかしがっていたら変に思われる」

「そ、そうだけど……!」

 慣れなければいけないことは分かっているものの、これは荒治療すぎない?

 もう少し段階的にやってもらいたいんだけど――

「俺は何もしないから。そんなに警戒しなくていい」

 そう宥められるけれど……私の手が賢人さんの体にどんどん近づいていく。
 彼の手に導かれて、鍛えられている胸のあたりに私の手のひらがぴたっとくっついた。

「あう……」

 手から彼の体温が伝わって、ぶわっと全身に熱が移る。

 しっとりとした温かな体温。女性の体とは違う、しっかりとした筋肉。トクトクと彼の鼓動を感じて、私の緊張がいっきに高まる。

「これが俺の体。よく覚えて」

「う……うん」

 何も変なことはしていないのに、ドキドキが止まらない。恥ずかしくてたまらなくて、賢人さんのことを直視できない。

 しばらく離してもらえず、そのまま彼の体に触れたままの時間が過ぎた。
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