俺様社長と溺愛婚前同居!?
何分経っただろう?
一秒がすごく長く感じて、ずっとこうしているみたい。でも少しずつ警戒心も溶けてきて、賢人さんにこうして抱き締められていることに慣れてきた。
大きな体に抱き締められていると、心地いいってこと、初めて知ったかも……。
そんなロマンティックな時間を過ごしていたのに、急に「ぐうう」と私のお腹が鳴った。
「あ……っ」
「はは、お腹すいたのか。そうだよな、もう十時過ぎてるし」
大きなお腹の音に驚いて、ぱっと体を離して顔を上げる。
「ごめんなさい、寝坊しちゃって。すぐにご飯作るね」
「今朝は俺が作っておいたから、大丈夫。結花も支度しておいで」
「ええ……っ、作ってくれたの?」
それ、私の仕事なのに。寝坊してしまったから、呆れて自分で作ってしまったのだろうか。
「ごめんなさい……」
「何で謝るんだ? 作りたい気分だったから気にしなくていい」
「でも――それじゃあ、私のいる意味がないよ」
「そんなことない。とにかく支度しておいで」
賢人さんは朝早くに起きて朝食の準備をしたあと、筋トレをしてひと汗かいてシャワーを浴びたらしい。