俺様社長と溺愛婚前同居!?

 オムレツも、パンも、どれもこれも美味しい。
 あっという間に平らげて、空腹が満たされて幸福感でいっぱいになった。
 
「さて。今日はこれから出かけようと思うんだけど」

「お出かけするの? 何時に帰ってくる?」

 賢人のさん帰ってくる時間に合わせて食事の準備をしたり、部屋の片づけをしようとスケジュールを聞いてみると、彼の眉間に皺が寄る。

「バカ。結花も一緒だ」

「ええっ、そうなの?」

「連れていきたいところがあるから、出かける準備をしておいで」

 まさか一緒に出掛けることになるとは。

 急いで部屋に戻って荷物をひっくり返すけれど、賢人さんの隣に立って恥ずかしくないような服が見当たらない。

 いつもラフなTシャツにデニムだし、羽織りに使っているシャツもカジュアルすぎる。
 こんな格好で隣を歩いたら、不釣り合いで賢人さんに迷惑がかかってしまう!

「どうしよう……」

 段ボールから一通り洋服を出したあと、床に項垂れる。早く支度をしないといけないのに、なかなか準備が完了しない。
 どうすればいいか頭を悩ませていると、痺れを切らした賢人さんが部屋をノックしてきた。

「用意できたか?」

「…………まだ」

「何で? 開けるよ」

 扉を開き、床の上にたくさんの服が散らばる部屋を見て、賢人さんは驚きの声を上げた。
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