俺様社長と溺愛婚前同居!?

「ん? どうした?」

「ううん、何でもないよ。じゃあ、これにしよう」

 お揃いのお茶碗、お箸、コップ、マグカップを買って、私たちは雑貨屋を後にした。
 その雑貨屋さんの近くにあるカフェでランチをしてから、再び車に乗って移動し始める。

「次はどこに行くの?」

「そうだな……涼しいところ」

「涼しいところ……?」

 どこだろう? と不思議に思っていると、大きな水族館に到着した。

「わあ、水族館だ」

「どう? 涼しくて、癒されるだろ?」

「うん、そうだね」

 水族館に行くなんて、何年ぶりだろう?
 学生時代に友達と行ったっきりで随分行っていない。
 駐車場に車を停めて、水族館の入り口へと歩いていく。もちろん、手を繋いで。

「ねえ、私と手を繋いで歩くの、恥ずかしくないの?」

「何で恥ずかしいんだよ?」

「だって……」

 今日は私に合わせた服装をしてくれたから、そこまで不自然じゃないけれど、賢人さんは一流企業のシンクフロンティアの社長さんだ。

 こんな一般人丸出しの私を隣に連れていて、釣り合いが取れているわけがない。
< 114 / 177 >

この作品をシェア

pagetop