俺様社長と溺愛婚前同居!?
「ほら、結花」
こんなところ、他の人に見られたら大変だ。
会社の社長が婚約者に向かって、こんな甘々な顔をしているなんて知られたら社長の威厳が失われてしまう。
ここは早々に切り上げないと!
でももう一度好きって言うなんて、恥ずかしい。
できないと言いたいけれど、賢人さんがすごく嬉しそうに微笑むから、嫌とは言えない。
その顔を曇らせたくない。
その嬉しそうに微笑む可愛い表情を崩させたくない。もっと見たい。
「賢人さん……好きだよ」
「本当?」
「……本当」
そう聞かれて嘘とは言えず、本当だと答えてしまった。
だって、そんなおねだりするみたいな表情で聞かれたら、嘘だなんて言えないよ。
「俺もだよ。結花、好き」
そう言ったあと、賢人さんは目を閉じて、私に口づけを落とす。
ああ、もうだめだ。
好きと囁く低くて優しい声も、私の体を引き寄せる腕も、柔らかくて気持ちいい唇も、全部が私の心を刺激してくる。
こんなの、好きにならないでいるほうが難しい。
好きになっちゃダメなのに。
きっと迷惑だと思われるのに。
契約解消されてしまうかもしれないのに……
彼の素敵さに抗えない。
うそ、なのかな。
本当は、もう好きになっているんじゃない?
このまま好きになっていってもいいの?
そんなことを考えていたはずなのに、賢人さんのキスに夢中になっているうちに何も考えられなくなっていった。