俺様社長と溺愛婚前同居!?

「あ、それね。元カレなの」

「えっ……。そ……うなんですか」

 写真に見惚れていると、木製のトレーの上に紅茶とお菓子を載せて歩いてきた神宮寺さんに声をかけられた。

 しまった、声が上ずってしまった。

 賢人さんが元カレと聞いて、動揺を隠せない。

「って言っても、何年も前なんだけどね」

「そうなんですか」

「そうなの。ずーっと忘れられなくて、飾ったまま。実は彼もこのマンションに住んでいるんだよね」

 やっぱり賢人さんのことだ。他人のそら似じゃないんだ……。

 あまりにもお似合いなふたりの姿を見て、心臓がバクバクと大きな音をたてる。

 神宮寺さんと賢人さんが、元恋人?

 どうして別れたの? 神宮寺さんは、まだ賢人さんのことが好きなの?

「もう一度やり直したいって思うんだけど……なかなか勇気が出なくて。噂によると、彼には結婚を考えている女性がいるみたいなのね。だからもう無理なのかなーって思って落ち込んでいるところ」

「そんな……」

「でもなかなか諦めきれないから、同じマンションに引っ越してきちゃった。未練がましいね」
< 141 / 177 >

この作品をシェア

pagetop