俺様社長と溺愛婚前同居!?
手を合わせて必死に何度もお願いされて、断れない雰囲気になってしまった。神宮寺さんのことは好きだし、彼女の辛い気持ちが少しでも解消されるならと思う気持ちもある。
だからといって、私に何ができるのだろうと悩む。
「これで振られたら、きっぱり諦められると思うんだ。だからお願い」
好きだと伝えられず、何年も苦しい思いをしてきたのだと語る彼女の痛みを考えると突っぱねることができない。
前に進むためにも、ふたりに話し合いは必要なのかもしれない。
「分かりました。協力します」
「本当!? 嬉しい、ありがとう!」
そうして神宮寺さんの家から帰った私は、ひとりで賢人さんの家に帰る。
リビングのソファに座り、大きなため息を漏らした。
「神宮寺さんが元カノだったなんて……」
ふたりが並んでいる写真を思い出し、すごくお似合いだったと改めて感じる。
女性嫌いだという賢人さんは、神宮寺さんと別れて心に傷を負ってしまってそうなってしまったとも聞いた。
好きで好きでたまらなかった女性と別れたことで、心を閉ざしてしまったのかもしれない。
だったら、その人ともう一度歩み寄ることができたら……
それが賢人さんにとっての幸せなのかもしれない。
「はあ……」
賢人さんは、自暴自棄になって私と結婚を決めたのだろう。