俺様社長と溺愛婚前同居!?

 私では神宮寺さんの代わりにはなれてない。役不足だ。


「結花」

「……ん?」

「今週の日曜日、婚約指輪を買いに行こう。それから入籍もそろそろしようと思うんだけど」


 私たちは婚約の状態ではあるものの、具体的な日にちなどは決めていなかった。

 そろそろ話を進めていこうと言われて、胸が大きく跳ねる。

「うん……分かった」

「よかった。じゃあ、日曜日楽しみにしてる。どんな指輪がいいか、考えておいて」

「うん」

 嬉しい。このまま賢人さんと結婚できたらどれだけ幸せかと思う。

 だけどそれはできない。賢人さんのことが好きだからこそ、このまま話を進めてはいけない。
 婚約指輪を買ってしまう前に、神宮寺さんと会ってもらうべきだ。

「賢人さん、あのね……」

「ん?」

「日曜日、普通の恋人みたいに、外で待ち合わせしたいな」


 いきなり神宮寺さんの話題を出すと警戒されてしまうかもしれないと考えて、敢えて何も言わないでおくことにした。

 その代わり、偶然を装ってふたりを引き合わせようと考える。


「そういうの、したことなかったよな」

「でしょ? 私、普通のデートってしたことないから、待ち合わせとか憧れていて」

「じゃあ、そうしようか。駅前で待ち合わせる?」

「うん!」
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