俺様社長と溺愛婚前同居!?
「ふう……」
落ち着くために、ゆっくりと息を吐いてから家を出る。
あれこれシミュレーションしながら車に乗り込み、約束の駅前へ向かった。
結花はどういう道のりで駅前まで行くのだろう、俺を見つけたあとどんな表情をしてくれるのだろうと頭の中で思い描きながら到着した。
俺より先に出ているはずで、もう着いていてもいい時間なのに彼女の姿が見えない。
ちらほらいる女性たちに目を向けても、結花らしき人がいない。
周囲を見渡していると、俺のほうへ近づいてくる女性がいることに気がついた。
「賢人」
見覚えのある女性――。
その女性を見た瞬間、眉間に皺が寄る。
彼女は神宮寺純と言って、三年前に交際していた人だ。あまりいい思い出がないので、険しい表情になってしまう。
「どうして君がここに」
「結花ちゃんにお願いしたの。私と賢人をふたりきりにして欲しいって」
「は?」
どうして純から結花の名前が出てくるのだろう。
そして結花に頼んだと言ったか。
「どういうことだ?」
「私が賢人の元カノだと言ったら、どうぞどうぞって差し出してくれたの。いい子よね、結花ちゃん」