俺様社長と溺愛婚前同居!?
ふたりの未来を
「結花ー、どうしちゃったの?」
「何でもない……」
賢人さんの家を出て、そのまま花蓮の家に直行した。必要な荷物をまとめた大きなバッグを片手にやってきた妹に驚きつつも花蓮は家に入れてくれた。
リビングの大きなソファに突っ伏して、何も言わない私に何度も声をかけてくる。
「結花が落ち込んでいるなんて、珍しいよね。いつもそんなにヘコんだりしないのに。賢人さんと何かあったの?」
花蓮の問いかけに答えられず、目を閉じて真っ暗な視界の中いろいろと頭の中に巡る。
今頃、賢人さんと神宮寺さんは話し合いをしているだろうか。
少しのすれ違いで別れてしまったふたりだから、話し合えばきっとよりを戻すことができるだろう。
ふたりを応援すると決めたのは自分なのに、賢人さんを手放したことが苦しくてたまらない。胸が痛くて、辛くて、次から次へと涙が溢れくる。
「賢人さんの……元カノさんが……」
「元カノ。ほう……」
「賢人さんもきっと元カノさんのことが好きでね、元カノさんも賢人さんが好きなの。だから、私……邪魔者になりたくなくて」
グスグスと泣きながら話す私の傍に、花蓮がゆっくりと腰を下ろす。そしてうつ伏せのままの私の頭を優しく撫でる。