俺様社長と溺愛婚前同居!?
そうなの!? と驚く。
私が作ったランチに全く手をつけていなかったと思っていたのに、実は毎日食べてくれていたらしい。いつも残った料理を保存容器に詰めておいていたけれど、翌日にきれいになくなっていたのは賢人さんが食べていたからだった。
「何で私の前で全然食べてくれなかったの?」
「……何となく、素直になれなくて……」
そう言って照れる賢人さんが可愛くて、思わず噴き出してしまった。
「うちの社員を差し置いて、社長ががっついているのは格好悪いかなと思って控えていたんだよ」
女性に対して強い警戒心を持っていた賢人さんのことだ。なかなか自分の気持ちに素直になれず、ずっと私のことを吟味していた。
しかしお弁当の一件から、少しずつ心を開き始め、好きになってくれたという。
「いきなり告白しても、絶対に振られると思ったんだ。最初は仲良くなろうとも思っていなかったから感じ悪かっただろう? だから……」
「ふふ、そうだね」
「あ、否定しなかったな」
だって、最初は賢人さんが怖かったもん。
他の社員さんとは話すのに、私に対しては深入りしようとしていない感じで大きな壁を感じていた。
話しかけても素っ気なく返事をされるだけだったし、絶対に嫌われていると思っていた。