俺様社長と溺愛婚前同居!?
「ありがとう。大切にするね」
車から男性コンシェルジュさんに荷物の移動をお願いして、私たちは部屋の中へ先に戻る。
「それにしても、今日のレストランの料理、すごく美味しかったね。私、コースのフランス料理って初めて食べたよ」
普段なら高級なお店に行くのは気が引けるけれど、賢人さんから贈られた上品なピンクのワンピースを着てなら入店できるくらいの勇気が持てた。
「いつも結花にご飯を作ってもらってばかりだからね。たまには外食もいいかなと思って」
「うん」
コンシェルジュさんが家の中に荷物を運び終え、帰って行ったあとリビングでふたりきりになると、賢人さんは私の手を握ってソファへと歩き出した。
「結花、座って」
「うん」
賢人さんのすぐそばに座らされ、ぐっと引き寄せられる。
いつもよりも熱っぽい手に引き寄せられていると、胸の鼓動が大きくなっていく。
緊張しながら彼のほうを見ると、視線がぶつかる。何も言わずに見つめ返すと、賢人さんの顔がゆっくりと近づいてきた。
「ん……」
ちゅ、と軽く唇が重なる。
何度がしてきたキスなのに、今までと何か違う。
そっと後頭部を撫でる賢人さんの手が優しくて、甘くてクラクラしてくる。
「好きだよ」
唇が離れる瞬間に囁かれる愛の言葉に、体が熱くなる。とろとろに溶けて、このまま賢人さんの腕の中でなくなってしまいそうなほどうっとりする。