俺様社長と溺愛婚前同居!?

「結花のこと、全部知りたい」

「ぜ……んぶ?」


 情熱的なキスから伝わってくる欲求が何を意味しているか察して、私の緊張は一気に高まる。

 それって……そういう意味だよね。
 深い仲になりたいと望まれているのだと気づく。


「それって……」

「結花を抱きたい」


 切なげな瞳に見つめられて、私を抱きたいと切望する賢人さんを見たら嬉しさがこみ上げてくる。


 大好きな人に求められている幸せを噛み締めて、ゆっくりと頷く。


 賢人さんが好き。
 私も、賢人さんのものになりたい。


 賢人さんからも好きって言ってもらえて嬉しいのに、まだ少し足りなくて。彼の心を疑っているわけじゃないけれど、もっと実感したいと願っている。

 心も体も賢人さんと繋がれたら、きっとこの不安は消えていくはず。


「いいの?」

「……うん」

 何度もキスを繰り返しながら、欲しい気持ちを重ね合わせる。
 でも――
 経験したことがないから怖い気持ちもあって、体が強張っていく。
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