俺様社長と溺愛婚前同居!?
「じゃあ、失礼します」
言われたとおりに、彼に近づき、持ってきたお弁当箱の蓋を開けて、お箸でハンバーグを一口大に切る。
そしてそれを、彼に差し出した。
これって、いわゆる「あーん」てやつなんだろうけど。
ラブラブな感じじゃなくて、食べてもらうための介助的なもの。
緊張する心を落ち着かせるため、自分にそう言い聞かせて、ゆっくりと彼のほうへハンバーグを向けた。
「あっ」
なかなか近づいてこないハンバーグに待てなくなったのか、鴻上さんは私の手を握って、自分のほうへ引き寄せる。
そしてぱくっと口の中に入れた。
初めて食べてくれた……!
それが嬉しくて、思わず笑みが零れる。
「どう……ですか?」
口に合っているだろうかと心配しながら、恐る恐る質問してみる。
すると、彼の目線がこちらに向いて、目が合う。
「あの……」
まずかった? 私の料理にがっかりした?
何も言われないから、不安が心の中に渦巻いていく。
すると、彼は口角をにっと上げて、悪巧みをするような笑みを浮かべた。
それって……どういう反応?
彼のリアクションを不思議そうに見ていると、急に彼の腕がこちらに伸びてきて。
私はお弁当を持ったまま、彼の体に引き寄せられる。
「え……っと。あの……?」