俺様社長と溺愛婚前同居!?

「これだけ種類あったら、何を作ったらいいか分からなくなってきた……」

「そうだよね。だからって毎日ハンバーグにするわけにいかないもんね」


 当たるまで毎日作ったら、それはそれで嫌がられるかもしれない。
 でもせっかくあの鴻上さんから好きな料理を聞いたのだから、気に入ってもらえるものを作りたい。

 どうすればいいか、レシピを考えていると、隆さんが「あ!」と言って立ち上がった。


「社員さんたちに毎日ハンバーグを出すわけにはいかないだろうし、社長には個別にお弁当を作ってみたら?」

「え……?」

「いつも社長ってランチを食べないんでしょ? だったら、お弁当を渡して好きなときに試食してもらえるようにすればいいんだよ」


 隆さんの意見に、私と花蓮は絶句する。


「って、あれ……? あんまりよくなかった?」

「違う……その逆! 隆さん、それ、名案だよ」

「隆、すごい! それ、めっちゃいい!!」


 それだったら、鴻上さんに毎日ハンバーグを試食してもらえる。それ以外にも、彼だけという特別感もあるし受け入れてもらえる可能性がある。

 三人のテンションが上がって、話が盛り上がる。


「よし、明日からお弁当作る!」

「そうだね。せっかくだから、社長さん用のお弁当箱買っちゃおうよ」

「愛情弁当的なやつ? 男はそういうの弱いからな~。いいかも」


 そういうわけで、さっそく雑貨屋へ向かって、鴻上さん用のお弁当箱を買ってきた。

 男性が満足できる量の入る大きさのわっぱ弁当箱。

 漆のお弁当箱は、料理を美味しそうに見せてくれる上、ご飯の余分な水分を逃して、べとつかない美味しいご飯にしてくれる効果があるという。


「これでよし……! 明日から頑張ろう」


 このお弁当箱を開いて、食べてくれる鴻上さんの姿を思い浮かべて、思わず笑みが零れた。
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