俺様社長と溺愛婚前同居!?
「お待たせしました」
見慣れた玄関に、すらっと背の高い青年が立っている違和感。うちの貧相な玄関に華やかな存在が立っていて、周りがいつもより輝いて見える。
「急に押しかけて申し訳ない。これを返しにきただけだ」
鴻上さんが差し出したのは、彼専用のお弁当箱。
「わざわざこれを持ってきてくださったんですか、すみません」
「君の会社に持っていったら、直接渡してくれと頼まれた」
むすっと不機嫌な顔で手渡され、急いで頭を下げる。
「そうだったんですね、お手数料をおかけして申し訳ございません」
会社に返しに来てくれただけでもありがたいのに、それを私の自宅まで持っていけなんて、花蓮の失礼な態度に申し訳なくなる。
そのまま代わりに受け取っておいてくれたらよかったのに、と花蓮を恨めしく思う。
「これは君の私物か?」
「え……いや、これは、鴻上さん専用のお弁当箱です」
「え?」
鴻上さんのお弁当箱なんて、気持ち悪いと思われたかもしれない、と慌てて弁解する。
「いつも忙しそうで、社員さんたちと一緒に食事をされないので、お弁当だったら食べやすいかなと思って用意したんです」
「…………」