俺様社長と溺愛婚前同居!?

「鴻上さんって近寄りがたい感じだけど、律儀な人なんだな……」


 返却されたお弁当箱は、オシャレな紙袋に入っていて、綺麗に洗われていた。

 中身の感想を聞くのを忘れていた、と思い出す。


「食べてくれたのかな……」


 鴻上さんが好きだと言ったハンバーグ。気に入ってくれただろうか。

 もしかして食べる時間がなくて、そのまま廃棄された可能性もある。ゴミ箱に捨てられているところを想像して、ぶんぶんと首を振る。


「まさか、そんなこと……しないはず」


 とはいえ、食べているところを想像しても、しっくりこない。

 どちらにせよ、気に入ってもらえているかどうか分からないが、最終日まで心を込めて作り続けることしかできない。


「明日も頑張ろう」


 今日は彼がここまでお弁当を返しに来てくれて、少しだけ会話ができただけでよしとしよう。
 あと二週間。
 いつか「食べたよ」と言ってくれますように、と心の中で祈るのだった。
< 38 / 177 >

この作品をシェア

pagetop