俺様社長と溺愛婚前同居!?
「鴻上さんって近寄りがたい感じだけど、律儀な人なんだな……」
返却されたお弁当箱は、オシャレな紙袋に入っていて、綺麗に洗われていた。
中身の感想を聞くのを忘れていた、と思い出す。
「食べてくれたのかな……」
鴻上さんが好きだと言ったハンバーグ。気に入ってくれただろうか。
もしかして食べる時間がなくて、そのまま廃棄された可能性もある。ゴミ箱に捨てられているところを想像して、ぶんぶんと首を振る。
「まさか、そんなこと……しないはず」
とはいえ、食べているところを想像しても、しっくりこない。
どちらにせよ、気に入ってもらえているかどうか分からないが、最終日まで心を込めて作り続けることしかできない。
「明日も頑張ろう」
今日は彼がここまでお弁当を返しに来てくれて、少しだけ会話ができただけでよしとしよう。
あと二週間。
いつか「食べたよ」と言ってくれますように、と心の中で祈るのだった。