俺様社長と溺愛婚前同居!?
よく思わない人物からのお弁当
ーー株式会社シンクフロンティア。
「お疲れさまです、社長」
廊下ですれ違う社員に声をかけられながら、俺ーー鴻上賢人は社長室へ向かった。
他社で行われていた会議を終えて部屋に戻ってくると、机の上に見覚えのないお弁当箱が置いてあった。
どうして社長室にこのようなものが置いてあるのか、秘書の廣田に声をかける。
「廣田、これは?」
「こちらは、ケータリングサービスHANAさんからのお弁当のようです」
「弁当?」
二ヵ月前からうちの会社の社員たち用に昼食を用意するべく、ケータリングサービスHANAと仮契約をしている。
ケータリングサービスHANAは、芸能人御用達で、テレビ局やスタジオにも出入りしている人気の飲食店。
栄養たっぷりの美味しい食事を用意してくれると有名なケータリングサービスだ。
社長である横永花蓮は、テレビにも出演する人気の料理家。旦那の横永隆と共に会社を立ち上げて、ケータリングサービスを行っている。
この会社を知ったきっかけは、取引先のパーティでここの料理を振舞われたことだった。
色鮮やかで食欲をそそるような料理を見て、これならうちの社員も気に入るのではないかと考えた。