俺様社長と溺愛婚前同居!?

「廣田です。社長、結花さんをお連れしました」

「どうぞ」


 奥から鴻上さんの声がして、胸が大きく跳ねる。

 ついに……このときが……。


「では、結花さん。中へ」

「えっ……廣田さんは?」

「私は席を外すように命じられておりますので。のちほどに」

「は、はい……」


 まさかのふたりきり。

 より緊張してしまって、顔も体も強張っている。
 中に入るのに勇気がいて、なかなか踏み出せないでいる。しかし社長を待たせるわけにはいかない。

 静々と中へ足を進ませ、執務机の前に座っている彼のもとへ近づいていく。


「失礼……いたします」

「急に呼び出して申し訳ない」

「いえ。大丈夫です」


 オフィスフロアで見るときよりも、彼が凛々しく見える。高級そうなソファや、本棚、執務机にプレジデントチェアに囲まれていて、彼がこの会社のトップなのだと思い知らされた。


「そこに座って」

「は、はい……!」


 鴻上さんが指示したのは、部屋の中心にある応接用のテーブル。マホガニー色の上質なテーブルの上に、私の作ったお弁当がぽつりと置いてある。

 じっと私のことを見ている鴻上さんの表情は硬い。
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