俺様社長と溺愛婚前同居!?


 もしかして、今日のお弁当……口に合わなかった?

 怒って……る……?


 感情が読めなくて、戸惑いながら、革張りのソファに腰を落とした。


「三ヵ月間、うちの社員に食事を提供してもらって、ありがとうございました。とても好評でした」

「そ、そうですか。よかったです」

「ケータリングサービスHANAさんは、とても人気のお店だと聞いていますが、毎日お忙しいですか?」


 これは、どういう意味の質問だろう? と思いながら、最近の経営状況を話し出す。


「実は社長の姉が働けない状況になっていまして……。姉の旦那さんとふたりで今は店をやっている状況です。でも姉の人気でやってきたような店なので、いなくなるとこの先がどうなるか不安で……」


 隆さんもプロのシェフとして腕のある人だけど、花蓮の料理を目的に注文をしてくれる人が多数だ。花蓮が休んでいる間にお客さんが離れてしまったらどうしようと悩んでいる。

 しかし花蓮にとって今は体を休めることが優先事項だ。赤ちゃんが無事に大きくなれるように無理は禁物。


「なので、シンクフロンティアさんと契約できたら、こちらとしては、すごく嬉しいんですけど……」

「なるほど」

「あの……お弁当、食べてくださいました? 私の料理……どうでしたか?」


 身を乗り出して質問するけれど、彼からは回答を得られない。
 何も答えないまま鴻上さんは私の隣に座って、距離を詰めてきた。

 
 なんだろう、今日はやけに近いような……。

 いつもより距離がなくて、鴻上さんがすぐそばにいる。

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