俺様社長と溺愛婚前同居!?

「食べてほしい?」

「もちろんです」

「じゃあ……食べてほしいなら、食べさせて」


 食べ……させて?


 鴻上さんは、口角を吊り上げて、悪巧みするような笑みを浮かべる。

 初めて見た笑顔にもだが、「食べさせて」という言葉にも戸惑いを隠せない。


 これって……本気で言ってる?

 それとも、からかわれてる?

 でも食べさせたら、私の料理を目の前で食べてくれるってこと?

 鴻上さんが食べているところを見たい。でも人に食べさせたことなんてないし……上手にできるか分からない。


 彼の顔を見つめながら、「うーん、うーん」と考えていると、頬をぷにっと抓られた。


「早く。するのか? しないのか?」

「し、しまふ……!」


 そう答えると、頬から手を離してくれた。

 テーブルの上にあるお弁当箱を膝の上に置いて蓋を開ける。一緒に用意していたお箸を持って、メイン料理のハンバーグを一口サイズに割った。

 今日は、てりやきソースを絡めたハンバーグ。それを箸の上に乗せて、彼のほうへ運んでいく。


「じゃあ、失礼します」


 私のことをじっと見つめている鴻上さん。

 こんな近くで見るのは初めてで、改めて整った顔だと感心する。女性に負けないくらい艶のある肌、きりっとした男らしい眉、二重の綺麗な瞳。鼻は高くて、唇も形がよくてふわふわしてそう。

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