俺様社長と溺愛婚前同居!?

 あれ? どうしたんだろう、近いな……?

 私の顔に何かついてる? 何かおかしいところある?

 え、ええ……っ、止まらない。
 めちゃくちゃ近いんですけど……っ!


 条件反射的にきゅっと閉じる。


 すると、彼の大きな手が私の後頭部を包んだ。

 それに気がついた次の瞬間に、唇に柔らかな感触。


 え……っ、これって。


 ほんの一瞬しか感じなかったけれど、今、唇と唇が触れていた。


 今のって……キス、だよね……?


 唇が離れても、まだお互いの息がかかりそうなほど近くにいる。
 離れたはずなのに、唇が熱い。

 私から離れた鴻上さんは、いつもの攻撃的な口調で話してきた。


「おい、高梨結花。何とか言え」


 何とか言えって言われても……!

 目の前にいる鴻上さんは、怒っているみたいな雰囲気だし。どうしてキスをされて怒られているのか全く理解できない。


 だけど……。


「あ……りがとうございます……」

 私がそう言うと、鴻上さんは驚いたような表情に変わった。


 あれ? 返事間違った?


 食べてくれてありがとうっていう意味で言っただけで、キスにありがとうって言ったわけじゃない。もしかして勘違いされてる?


 どうしよう、どうしよう、と慌てふためく私を見て、鴻上さんはぷっと噴き出した。

「……ふ、面白いな」
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