俺様社長と溺愛婚前同居!?

「いや、あの……っ、それは、どういう……?」

「そのままの意味だ」

「いやいやいや……」


 私と鴻上さんが結婚?


 そんな、まさか。

 話にリアリティがなさすぎて、信じられない。きつい冗談を言うなあ、と笑ってみるのに、鴻上さんは一緒になって笑ってくれない。


「結花」

「あうっ……」


 今まで「この人」とか「君」としか呼ばれなかったのに、急に名前を呼ぶなんて。

 今までとのギャップで、全身にビリビリと電流が走ったみたいに過剰に反応してしまう。


「……するよな?」

「え、えっと……」


 いつも怖いと思っていた鴻上さんが、私に向かって微笑みかけてくる。
 
 その笑顔は、目が全然笑ってなくて無言の圧力を感じる。

 ちょっぴり怖くて何か意味ありげで、普通に考えてあり得ない状況なのに、ドキドキして思考が鈍る。


「な?」


 しないなんて言えない雰囲気。

 鴻上さんと結婚すれば、HANAの経営は安定する。そうすれば花蓮は安心して休むことができる。花蓮が大事にしている会社を守れる。

 でも――


「ど……っ、どうして私と結婚しようと思うんですか?」

 副社長の京本さんの話では、鴻上さんはモテモテで女性には不自由していないと聞いている。そんな人がどうして私なんかと結婚しようと思うの?
< 59 / 177 >

この作品をシェア

pagetop