俺様社長と溺愛婚前同居!?
「いや、あの……っ、それは、どういう……?」
「そのままの意味だ」
「いやいやいや……」
私と鴻上さんが結婚?
そんな、まさか。
話にリアリティがなさすぎて、信じられない。きつい冗談を言うなあ、と笑ってみるのに、鴻上さんは一緒になって笑ってくれない。
「結花」
「あうっ……」
今まで「この人」とか「君」としか呼ばれなかったのに、急に名前を呼ぶなんて。
今までとのギャップで、全身にビリビリと電流が走ったみたいに過剰に反応してしまう。
「……するよな?」
「え、えっと……」
いつも怖いと思っていた鴻上さんが、私に向かって微笑みかけてくる。
その笑顔は、目が全然笑ってなくて無言の圧力を感じる。
ちょっぴり怖くて何か意味ありげで、普通に考えてあり得ない状況なのに、ドキドキして思考が鈍る。
「な?」
しないなんて言えない雰囲気。
鴻上さんと結婚すれば、HANAの経営は安定する。そうすれば花蓮は安心して休むことができる。花蓮が大事にしている会社を守れる。
でも――
「ど……っ、どうして私と結婚しようと思うんですか?」
副社長の京本さんの話では、鴻上さんはモテモテで女性には不自由していないと聞いている。そんな人がどうして私なんかと結婚しようと思うの?