俺様社長と溺愛婚前同居!?

「結花には、邪心がないだろう。俺に何かしてやろうとか、そういう気持ちがない。しかも料理が上手だ。俺は結婚がしたい、結花は会社を守りたい。そのふたつを叶えるため、お互いのメリットのために結婚しようと提案したんだ」


 女性が鴻上さんを好きすぎると、関係のパワーバランスが崩れる。しかし私なら、鴻上さんのことを「好き! 好き!」とならないので、安心できるらしい。


「だから、いいだろ?」

「うーん……」

「まだ返事を渋るのか」


 だって。

 結婚って、人生の中で大事な決断だ。そう簡単には決められない。

 でも……今まで一度も恋愛をしたことのない私が、こんな素敵な人にプロポーズされるなんて、二度とないチャンスなのかもしれない。


 頭はいいし、仕事はできるし、安定した収入もある。しかもめちゃくちゃ格好いい。

 最初は近寄りがたくて怖そうだったけど、実はそんなこともなさそう……?

 案外優しいのかもしれないと思ったりする。


「何も言わないなら、もう一度キスするぞ」

「だ、だめです……! 私、初めてだったんですから。キスを軽々しく乱用しないでください」


 プロポーズされて忘れてしまっていたけれど、さっき鴻上さんにキスをされたんだった。あれは私のファーストキスだ。

 鴻上さんにとっては挨拶みたいなものだろうけど、私にとっては大事なもの。

 初めてのキスが、まさか不意打ちなんて、想像していなかった!

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