俺様社長と溺愛婚前同居!?
それなのに、うちの両親に挨拶に来るなんて……!
上手くいくのかな……。
「まあ、あなたが賢人さん? いらっしゃい」
「初めまして、お義母さま。鴻上賢人と申します。突然お邪魔して申し訳ございません」
「いえいえ、いいんですよ。さ、玄関で話すのも何だから、あがってください」
よそ行きのセレモニースーツを着た母は、嬉しそうに賢人さんを招き入れる。母の背後に立っていた花蓮と隆さんは、賢人さんに向かって小さく会釈する。
「さあ、中へどうぞ」
母に案内され、賢人さんは父の待つ奥の部屋へと進んでいく。
うちの家族に会っても、全然物怖じしていない。むしろ堂々としていて清々しい。高級な手土産も用意されていて、ちゃんとした挨拶をするつもりなのだろう。
「やっぱり、鴻上さんはイケメンだね~」
「もう、花蓮ってば」
「結花ちゃん、あの鴻上社長をモノにするなんて、大したもんだよ。女性を寄せ付けないことで有名な人なのに、どうやって落としたの?」
廊下に残った花蓮と隆さんに冷やかされるけど、そうじゃない。
落としてもいないし、落とされてもいない。
からかわれてキスをされただけで、私たちの間に好きとか嫌いとか、そういうのは存在していない。