俺様社長と溺愛婚前同居!?

 この二ヵ月間、一度も食べてくれなかったのに、この前から一体どうなっちゃったんだろう。

 寄せ付けないオーラが放たれていたのに、今はすっかりなくなった。

 じっと見つめる視線に気がついた賢人さんは、私のほうに顔を向けてにこっと微笑んだ。


「……結花の料理は本当に美味しいな」

「ありがとう……ございます」


 すると「キャーッ」と花蓮と母の黄色い声が上がる。


「皆の前でラブラブしないでよ~。羨ましくなる」

「やっぱりこの時期が一番熱々ね。いいわねー」

「ラ……ラブラブなんかじゃ……!」


 そんなことないよね、と賢人さんに同意を求めても、一緒になって否定してくれない。
 私たちがあたかもラブラブであるかのように、笑ってみせるだけ。


 そう思われていいの?

 あ、いいのか。そうじゃないと、結婚を許してもらえないか……。

 さすが賢人さん。

 交渉能力にも長けていて、演技力もある。あっさりとうちの両親を信じ込ませてしまった。


 そういうわけで、賢人さんとの結婚はとんとん拍子に進み、入籍を待たずに一週間後には同居がスタートすることになった。
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