俺様社長と溺愛婚前同居!?

「賢人ってお父さんに似て、ちょっと強引なところがあるから。言い出したら聞かないところがあるのよ。困ったことがあったら、何でも相談してね」

「ありがとうございます


 もうすでに、この結婚が強引な感じがしていますけど――とは言い出せず。


 私たちの結婚の話がスムーズに運ぶため、賢人さんの隣で借りてきた猫のように、ただひたすらにニコニコとし続けた。


「本当に結婚するのかな……」


 と、呟いてみるものの、本当に結婚するのだろう。
 両親に挨拶をしている時点で「やっぱりやめます、嘘でした」なんて言えない。

 まだ実感が湧いていなくて、気持ちがついていってない。
 私はいい、全然。

 好きな人もできたことがないし、仲良い男性もいない。

 結婚なんて夢のまた夢くらい遠い話だったから、今回結婚できることになったのも奇跡みたいで、ちょっとラッキー的な感じもあるくらいだし。


 でも賢人さんは違う。

 将来有望で、これからいくらでも素敵な人と出会いがあるはずなのに、私と結婚して後悔しないのかな。

 専属料理人が欲しいだけなのに、籍を入れてしまっていいの?

 賢人さんの考えがよく分からなくて困っている。
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