俺様社長と溺愛婚前同居!?
「ね、お願い。一回だけでいいから」
「ごめんなさい、私……仕事が忙しいのでお休みがなくて」
「じゃあ、夜、少しだけ会って? 一時間だけでいいから」
「夜は……早くに寝るので……」
「じゃあ、俺んちで寝ればいいよ。添い寝しながら話を――」
なかなか食い下がってくれなくて困っていると、背後から川崎さんの肩を掴む手が見えた。
「結花に何しているんだ?」
「社長……っ」
川崎さんの背後に立っていたのは、賢人さんだった。眉間に皺を寄せている表情を見て、何か誤解しているような気がして、急いで弁解する。
「な、何もしていませんよ。ただお話をしていただけで」
「結花に聞いていない」
仕事中に勝手に休憩していたのかと川崎さんに怒っている様子だったので、フォローしたつもりが逆効果になってしまったらしい。
「川崎、悪いが結花は結婚する予定の人だ。手を引いてくれ」
「え……? 結婚?」
賢人さんの言葉に即座に反応したのは川崎さんだった。
「結花ちゃん、結婚するの? 誰と?」
「あ、えーっと……その……」
「俺だ」
川崎さんは、「ええええーっ」と腰を抜かしそうな勢いで大声を上げた。
それに気づいた他の社員たちも何事かとキッチンに集まりだす。