俺様社長と溺愛婚前同居!?
「どうしたの?」
「何があったんだ?」
フロアにいた社員たちが集まってきたところで、賢人さんは私の傍に寄って、引き寄せるように肩に手を添えた。
「うそでしょ……。結花ちゃんが、社長と結婚だなんて……」
「本当だ」
がっくりと項垂れそうになっている川崎さんは、信じられないと何度も呟く。
集まってきた社員たちの耳にも私たちの結婚の話が入って、ざわざわとし始める。
「社長と結花ちゃんが結婚?」
「うそ……」
「マジで?」
社員たちの間を割って入ってきた京本さんも、驚いた表情で私と賢人さんを見つめる。
「賢人、どういうこと?」
「そういうことだ。俺たちは結婚することになった」
今までの賢人さんを知っている人たちだからこそ、嘘だろうとなかなか信じない。一体今までどれだけ女性嫌いだったのだろう。
「結花ちゃん、何か弱みでも握られてる? 無理してない?」
京本さんに心配されて、ぐっと言葉を呑み込む。
弱みを握られている……って言えば、そうなのかもしれないけれど、でも脅迫まがいのことをされているわけでもない。
多少強引だったけれど、無理強いされてはいない。合意の上での結婚……の予定。