俺様社長と溺愛婚前同居!?
隠し持った本当の気持ち
キッチンのほうからいい香りがする。
休みの間にやってしまおうと思っていた仕事を片付けるため、パソコンの前にすわっていたが、その香りに包まれて、キーボードを打つ手がふと止まる。
今まで誰も踏み込ませたことのなかったプライベートな空間に彼女がいる。
人の気配のする家にいるなんて、いつぶりだろう。
「ふふ~ん、ふーん」
機嫌よさそうな鼻歌が微かに聞こえてくる。
キッチンで料理をしている結花を想像して、ふっと口角が上がった。
結花との結婚を決めたことは、はっきり言って勢いだった。
俺のために作ってくれた弁当。目の前で食べてほしいのなら食べさせろと言ったところ、真に受けて本当にやってみせた。
また、こんな期待させるようなことをして。
男を翻弄させる無垢な彼女に腹を立てながら、俺にこういうことをしたらどうなるか知らしめてやろうと考えた。
心に芽生えた悪戯心。
無意識の行動で俺の心を乱してくる結花に悪戯をしてやろうと思っただけだった。
それなのに、俺が料理を食べたら、心底嬉しそうな顔をした。
きらきら輝く太陽みたいに眩しい笑顔が可愛くて、俺だけのものにしたいという独占欲が湧きだす。