俺様社長と溺愛婚前同居!?
「何か……ごめんね」
手のかかる奴だと思われているだろうか。
申し訳なく思って身を縮こませていると、背後の賢人さんがふわふわのタオルで髪を拭き始めた。
「実家にいた犬を洗ったときを思い出す」
「犬……か。はは」
優しく丁寧に拭いてくれる仕草から、そのわんちゃんのことをとても大事にしていたのだと伝わってくる。家族に接するように大切に扱われて、何だかくすぐったい。
「はい、できたよ」
「ありがとう」
感謝の気持ちを伝えようと振り返ると、想像以上に賢人さんが近くて驚いた。
「あ……」
じっと見つめる彼の瞳から逃げるように、すぐに正面に向き直す。
ああ、もう。至近距離で見たら、ドキドキしちゃうよ……!
意識しないように心がけているのに、こんなに近くにいたら緊張してしまう。
「結花、今日も美味しいご飯ありがとう」
「う、うん……。それが、私の仕事だから……」
「そうだけど。嬉しかった」
熱のこもった言葉が耳に入ってくるたび、体が熱くなっていく。そして私の体を包み込むように、後ろから手を回してぎゅっと抱き締められた。
きゃああ……っ。
大きな賢人さんの体にすっぽりと包まれた私の体。
初めて感じる、男の人の体温。筋肉質の男らしい身体は逞しくて温かい。