好きになってくれない人へ。
初恋
近すぎた存在
朝起きて鏡を見ると、変わってしまった自分の姿に戸惑いを隠せない。
「本当に切っちゃったんだ……」
朝早く起きて髪を巻く事が日課だったのに、もう朝早く起きる必要が無くなった。
「覚悟してたはずなんだけどな」
軽くなった髪をまじまじと見つめる。
この長さなら整える必要もない、か。
今日から私は変わるんだと自分に言い聞かせ、朝の支度を始めた。
朝8時。
今日も家のインターホンが鳴った。
これが私とアイツの合図。
「ほら、蓮君が来たわよ」
「わかってるー」
お母さんに急かされ、家の中を駆け回るが新しい髪型が原因でなかなか家を出れずにいると、しびれを切らしたのか家の扉が開く音が聞こえた。
「桜来ー? 何してんだよ」
玄関からアイツの声が聞こえて次第に足音が近づいてくる。
「ほら! 何回も確認しても変わらないんだから早く学校に行きなさい!」
「わかってるけどー!」
何回も鏡で髪型を確認した所で大した変化がない事は分かっている。
だけど、問題はそこじゃない。
新しい“髪型”をアイツに見られる事が問題なんだ。
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