好きになってくれない人へ。
私の好きな人が誰を好きなのか知っている。
その好きな人が想いを寄せている相手が、誰を好きなのかも知っている。
2人の関係に私が入り込める場所なんてなくて、私に割り振られた役割は“親友”で“幼なじみ”。


「そんな事くらい分かってたはずなんだけどな」
「……何か言った?」
「ううん。何でもないよ」


これじゃ、何の為に髪を切ったのか分からない。


「あ、私部室に用があるの忘れてた」
「そうなの?」
「うん、だから後でね」


この感情を抱いたまま茉心と一緒にいるのが辛く、用なんて本当はないのに部室に逃げ込んだ。


★★★★★


朝のホームルームが始まったチャイムが聞こえ、このままサボってしまおうと思い、私が所属する写真部の扉を開けた。
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